変化 ページ3
『愛してまァァァァァァす!!!!!!』
半ばやけくそになりながら叫んだ。叫んでやった。
解放されたのか、頬をギチギチと締めあげられていたせいで閉じざるを得なかった瞳がパッと開く。
「は...?」
『あ....?』
見渡してみると先程の風景とは違った。ここはアンドルーさんの部屋だ。
目の前には"何急に叫んでんだコイツ...ヤバ...."みたいな顔をしたアンドルーさんがいた。
アンドルーさんは「4吊りダメ、絶対」と白い文字で書かれている意味不明なオリジナル黒Tシャツを着ていた。ダサすぎるけどどこで買ったのかめちゃくちゃ気になる。
あと妙に似合う...あ、ダサTが似合うって言うのは悪口になるかな...?
そんなことは置いておいて、さっきの状況とは一変した風景に私は目をこする。
...どうやらさっきの出来事は夢だったようだ。
大分変な夢を見ていたみたい。
「デカい寝言だな...」
アンドルーさんはマグカップに入った、湯気の立つコーヒーを飲みながらフッと笑った。私は一気に恥ずかしくなる。
だが次の一言で私は我慢ならなくなる。
「しかもそんな恥ずかしい言葉...」
『あ....あ.....』
『あんたが言わせたんでしょうがぁ!!!!』
「は!?」
*
「どんな夢だったんだ...」
『別にっ!アンドルーさんには教えません!』
私とアンドルーさんは互いに向かい合って朝食を摂る。アンドルーさんがいれてくれたコーヒーに、私がグースカ寝ている間作ってくれたであろうスクランブルエッグ。
1年前に私が教えたもの...。
今じゃすっかりマスターしているらしい。
『というか、どうして私はアンドルーさんの部屋で一晩中寝てたの?』
「は?昨日のこと...覚えてないのか...?」
『うん、全く』
アンドルーさんは見るからに溜息をついた。
そ、そんなに呆れた感じを出さなくてもいいじゃない!
私は拗ねたような顔をわざと作って朝食をかき込む。
__1年前から何も変わっていない。
部屋でひっそり水を与えられて懸命に咲いているアイリスの花も、壁に掛けられた黒いコートも。
何も変わっていないけれど...。
「....」
....どこか、アンドルーさんの怪訝な表情が増えたような気がする。
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怜(プロフ) - yuさん» ありがとうございます!読み返しもしていただけていたなんて....!嬉しいです!のんびり更新ですがよろしくお願いします...! (2021年8月30日 17時) (レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
yu(プロフ) - 空に生き埋めすっっごい大好きで読み返しもしてたので続編嬉しいです!!ありがとうございます!! (2021年8月29日 21時) (レス) id: 96a71449d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜 | 作成日時:2021年8月27日 22時