対面 ページ11
『....っ!』
ハッと目が覚めた頃には、もう朝が来ていた。
カーテンの隙間から刺さる朝日が眩しくて痛い。
『...昔の夢だ』
ぼんやりする視界を振り切りながら、さっきの夢を思い出していた。
何年...何十年も前だろう。
私がまだ祀られる存在であった頃の夢だ。
人懐こい笑顔を見せていたあの子。
__今、どうしているのかな。
そもそも名前を覚えていないのだから、知る術もないけれど。
今もまた、あの祠で手を合わせに来てくれているのだろうか。
*
「...そこにいるのかい。神鬼のA」
『!?』
今日は試合もないためハンター館にでも行こうかと思っていたけれど、協力狩りが複数開催されていた。
話し相手がいなさそうだからとこのサバイバー館の庭園でぼんやりとしていたら、後ろから誰かに話しかけられる。
驚いて振り返ると、紺色のローブを纏った男の人が立っていた。
私の姿が視えている?
「そんなに身構えないで。私の名前はイライ・クラーク。占い師だよ」
『...視えているの?』
「ぼんやりとしか視えない。"ここにいる"ということくらいしか分からないが__そうだね。会話なら出来そうだ」
そう言ってイライさんは隣に座る。
「集中していないと視界から消えてしまう。どれだけ頑張ってもぼんやりとモヤがかかっているようにしか見えないし、声も上手く聞き取れないかもしれないけれど...」
『ど、どうして分かるの?』
「...私の持つ"天眼"の能力は万能らしい」
私の発言から数秒少し経って、イライさんはそう答えてくれた。
「君に会いたがっている人がいて...あと、付き添いも1人」
『え!?』
会いたがってる人!?付き添い!?
ど、どういうこと?誰?どうして...。
おいで、とイライさんは後ろへ手招きした。
すると物陰から2人の男の人が出てくる。
『あ...!』
ノートンさんだ!
もう1人は緑のフードを被った__傭兵さんだったっけ。昨日の試合にもいた。
「ほ、本当にいるのか?」
「私の隣に座っているよ」
傭兵さんはキョロキョロしながらこちらへ寄ってくる。ノートンさんは相変わらず無表情だった。
やっぱり姿は見えないんだ。
イライさんの天眼?という能力でもちょっとしか分からないんだから、無理はないよね。
試しに持っていた鈴を鳴らしてみる。
『...』
シャン、と小さく、でも明瞭に鳴ったそれに3人は一斉に私の方を見た。
「この音、どこかで...」
ノートンさんが、小さくそう呟いた。
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怜(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます!!沙羅さんのコメントが嬉しくて私も毎回栄養補給させて頂いてます(?) 他作品の方はこれからも続くので、どうか末永くよろしくお願いします...! (2020年6月25日 0時) (レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 完結おめでとうございますとお疲れ様です…!どんな結末になるんだろうと色々妄想(?)してたのですが、ちょっと切なくて甘い感じ、好きです…!今回も栄養補給させて頂きました(エヘヘ)、ありがとうございます…!!喫茶店の方も楽しみにしてますね! (2020年6月24日 21時) (レス) id: 3aa856ffa1 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - ゆったり更新で大丈夫ですっ!気長に待ってますっ!! (2020年6月17日 4時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - ?mi?さん» ありがとうございます...!ゆったり更新ですがどうかよろしくお願いします! (2020年6月16日 18時) (レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてますっ!! (2020年6月16日 3時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜 | 作成日時:2020年6月6日 16時