綺麗な物語を貴方に《Yuto.N》 (ページ20)

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『…わかった。じゃあ、敬語はなしで』

「あと！私のことAさんって呼ぶのも禁止ね」

『え、じゃあどう呼べば…』

「普通に、A！って呼び捨てで」

『無理だよ…それは流石に、出来ない…』

「んー、じゃあAちゃんだったら良いよ。さん付けは距離あるから嫌だ」

なかなかにハードルの高い要求に、オドオドしてしまう姿はきっと情けない

浮所なら、さらっと呼んじゃうんだろうな

俺と浮所の違いってそう言うところか…

とことん惨めだよな、浮所と比べると俺って。

『A…ちゃん、？』

「そう！それが良い！本当は呼び捨てが良いけど、まぁそれは那須くんが段階踏んでからだね～」

会話を区切りの良いところで終えると、行こっか！なんて彼女の輝かしい笑顔が向けられる

…この笑顔にはいつまで経っても慣れない

まるで太陽みたいなその笑顔にドキドキして、それを隠すのに必死だ

『そう言えば、これからどこ行くの？』

「まずは髪を切るの、私のお母さんね、美容師なんだ～」

『え、そうなの？』

「うん。だから那須くんはお母さんに切ってもらおうかな～って」

『無理！無理、絶対無理！』

「どれだけ無理って言うの(笑)」

『だっていきなりはハードル高くない…？』

無理に決まってる。Aちゃんのお母さんと対面するなんて緊張しすぎて心臓が破裂する！

それに、こんなやつなんだって株を下げたくない

「大丈夫だよ、うちのお母さん腕は確かだし人を見る目はあるから」

『それが嫌なんだよ…』