すのまんまの9人 3 (ページ17)

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目に見えなくたってそばにある。ページ17

ru side

だてさんの家を出て、みんな別々の方向に帰ってく。
僕は佐久間くんと途中まで一緒だった。

sk「はぁ〜いい夜だな、らう！」
ru「急にどうしたの？」
sk「いやなんか、みんなと恋バナしたら今日すげー最高じゃんって思ってさ」
ru「変なの〜」
sk「らうはないの？好きな人とか」
ru「うーん…」

ほんの一瞬、好きだった人を思い出す。
2人で散歩に行く習慣は変わらないけど、その会話の中に恋人が出てくる時間は少し複雑だった。

ru「…前はいたんだけど、その好きは恋じゃないって分かったからなぁ。今はみんなを見てるのが一番幸せかも」
sk「なるほどなぁ…好きって難しいよな」
ru「そうだね」
sk「その好きだったかもしれない人は、恋人いるの？」
ru「…うん、その人のほうが溺愛してるよ」
sk「……そっか」
ru「うん」

佐久間くんと、星が見える夜の道を歩く。
野良猫の鳴き声とかちょっと涼しい風とかのおかげで夜も少しだけ騒がしい。

sk「らう」
ru「ん？」
sk「大好きだ」
ru「え？どうしたの？」
sk「いや、なんか…寂しそうだったからさ」
ru「…寂しそうだから言ってくれたの？」
sk「そうじゃなくても大好きだぞ」
ru「分かってるよ！でもありがとう」
sk「うん、俺には分かる。らうが好きだったその人もきっとお前のこと大好きだよ」
ru「どうだろ…一つのことしか考えれない人だから」
sk「好きって1人にしかあげれないわけじゃないから」
ru「ん？」
sk「みーんながその人に対してしか言い表されない好きを持ってるって俺は思ってるからさ」
ru「うん」
sk「どう思ってたっていいんじゃない？名前をつけなくてもいいと思うんだよね」
ru「そっか」
sk「俺は間違いなくらうが好き、それだけ」

佐久間くんの真っ直ぐさに乗せられる。

ru「僕の、好きな人は…」

言った方が楽になれるのかな

sk「言わなくてもいいよ。言わなくても大丈夫。別に知りたいわけでも擁護したわけでもなくてただ伝えたかった。」
ru「…僕と佐久間くん好き」
sk「うはは、ありがとう！じゃあ俺こっちだから」
ru「うん！気をつけて」
sk「おやすみ」

佐久間くんと別れて10分後。
スマホの通知がなる

mm『もう家帰れた？遅いから気をつけろよ』

ほら、こうゆうとこだ。
きっと康二くんだってこーゆう人だから貴方を好きになって僕だって、上手く忘れられないまま。

ru「優しいなぁ、ずっと」

目に見えない静かな優しさに少しだけ泣いた。