3 ページ3
3:青野 雅尋
青野は昼食を食べ終え、教室に戻るために廊下を歩いていた。しばらく歩いていると、見慣れ
た背中が目に入った。
「周ちゃん!」
青野はそれに向かって駆け出した。大量の資料を抱えていた広瀬は、ゆっくりと振り返った。
「青野くん、久しぶり」
広瀬はそう言って、笑顔を見せた。
夏休みが終わり、授業が再開した。夏休みの間、騎士団の活動がなかったため、二人が合うのは久
しぶりだった。
青野は、いつの間にか広瀬のことを『周ちゃん』と呼ぶようになっていた。
「周ちゃん、その資料何?」
「あぁ、これ?先生に頼まれちゃって」
職員室に行くところ、と広瀬は答えた。
「でも、珍しいね。成宮と一緒にいないの?」
広瀬の言葉に、青野はこくんとうなずいた。
「最近、ずーっと藤堂さんのところに行ってて。なんか、仲良くなったみたい」
「そっか・・・」
「嬉しいんだけどね。いつも、一人でいたから」
ふぅん、と広瀬は相槌を打った。
話している間に職員室についた。先生を待っている間、ドア付近で立っていると、職員室から河谷
と四十代ぐらいの男性が出てきた。広瀬は、その男性に向かって、顔ををしかめた。
「周ちゃんの知り合い?」
青野は声を潜めた。
「いや、違うけど。・・・あの人、蒼井氏。有名な闇の組織の一族」
広瀬は、蒼井を目で追った。
「ほら、学校にも蒼井 亜鈴(あおい ありん)っているでしょ?あの子の父親」
『蒼井 亜鈴』と聞いて、青野の表情が険しくなった。しかし、広瀬はそれに気づかず
に、話を続けた。
「知ってる?何年か前に、蒼井家の長女が、事故死した事件。すごく大きいニュースになって
て・・・」
「周ちゃん」
青野が突然、話を遮った。
「先生、出てきたよ」
青野の前に、小中が立っていた。
広瀬は持っていた資料を、小中に渡した。
「事件といえばさ」
再び歩き出した二人は、会話を再開した。
「女子生徒が殺されたやつ」
青野は広瀬の顔を見た。
「俺、同じ寮だから、すごく怖いんだよね」
「あぁ、そういえばそうだね。・・・早く、犯人見つかるといいよね」
広瀬は頷いた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藤宮伶 | 作成日時:2017年10月9日 9時