かつて死んだ彼女の名前【鬼滅の刃】

第九話 強さを求める鬼 壱 ページ24

その時、大きく電車が揺れ脱線してしまう。

2人の体は宙に浮かびそのまま電車の脱線に巻き込まれてしまった。





『.....ん..』


目を覚ますとそこは脱線し横たわった電車があった。
四月一日は響凱の腕に包まれ頭から血が出たぐらいですんだようだ。


『響凱さん!!大丈夫ですか?』


｢小生はこのぐらい平気だ｣


ホッしているが、隣ではさっきの車掌が衝撃で重傷を負っていた。
響凱に車掌を任せて列車の中にけが人がいないか見に行こうとした。

そんな中、ふと見ると炭治郎たちが戦っているのが見えた。

遠くからでも伝わる鬼の気配。
ビリビリと威圧感が伝わってくるが、なぜかその鬼に見覚えがあった。

しかもそこから漂うのは血の匂い。

それは炎柱からだった。

よく見てみると煉獄は左目が潰され、骨が折れているようだった。

確実にこのまま戦い続ければ死んでしまうだろう。


『...何とか..でも..』


そんな時、後ろから抱きつかれるような感触がある。
だが、後ろには誰もおらず。


｢杏寿郎を助けて。お願い｣


それは英雄の声。

なぜ彼女の声が聞こえてくるのか。
その声は四月一日自身、聞き覚えがない。


手にはあの鋏。握り知らぬ間に彼女は走り出していた。
自分の意思なのかそうなのかはわからない。


『暁の呼吸 壱ノ型 彼岸花』


周りは彼岸花。
それを触れる前に鬼の両腕が飛んでいく。

あまりの一瞬のことで鬼も一瞬たじろいだ。
その瞬間に2人の間に割って入った。


｢能面の葬儀屋!｣


『屠りましょう。決して見逃さぬ。たとえその者の死が悲しくとも』


腰を低くし居合のポーズをとる。

鬼も戦闘態勢に入った。


『弍ノ型 クマリン』


鬼の攻撃は彼女の腕を潰すも、鬼にしっかりと毒が回った。

鋏は血を吸い赤みを増す。

”クマリン”それは桜にある毒の名。
桜は美しく咲くために周りの雑草や草木を毒で枯らしてより満開に狂い咲く。


｢強いな。鬼でも人でもないお前は..なんだ?｣


『....。では貴方はどこで間違えた?』


｢?言ってる意味がわからないな｣


『記憶なんてないのね』


彼女は悲しそうに鋏を構えた。





どれぐらい戦っただろうか。

煉獄同様、彼女は傷つき猗窩座すぐさま回復する。
終わりが見えなくなっていた。


｢もう諦めて杏寿郎を渡したらどうだ?｣


『っ....ふざけるな!ぬけぬけと渡すわけないだろう!』


仮面の隙間からに見えた青い目は怒りに満ちていた。
その瞳に煉獄は覚えがあった。


｢ ｣


それはかつて死んだ彼女の名前。

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