第一話 葬儀屋 壱 ページ3
「行くんですか?四月一日さん」
お面を横につけた子どもに彼女は呼び止められた。心配そうな顔をしている。
彼女は「行ってきます」といい、子どもの頭を撫でてから出ていった。
藤の花をぬけ、森の奥を進むとそこには大きな屋敷。
お館様のお屋敷だ。
月に1度、鬼の総合討伐数と被害者の数を報告しに来る。
『お館様。参りました』
「その声はAかな?今回はどうだい?」
『討伐数は37体犠牲者は確認できる数で62人ほど。....食われて形跡がないのを含めれば倍になるかと』
「そうか...」
悲しそうに話すお館様に彼女の心は痛む。
彼ほど慈愛に溢れた人はいないだろう。
彼は四月一日に向かって手招きをした。
1度断るが、なおも手招きをする彼に観念しそばによる。
すると、四月一日を抱き寄せて頭を撫でた。
「君はよく頑張ってる。無理しなくてもいいんだよ。君も可愛がっている子の1人だ」
撫でる手はとても暖かく、温もりが感じられる。
思わず涙が流れそうになった。
『....私は...大したことしてませんよ』
と言ってお辞儀をして屋敷を離れた。
能面を被り、外に出ると
「あ?葬儀屋じゃねーか」
そこには傷だらけの男。風柱の不死川がいた。
他にも
恋柱の甘露寺、蛇柱の伊黒、音柱の宇髄、霞柱の時透、蟲柱の胡蝶。
『....風柱さん』
「なんでここにいるんだって聞いてんだ。能面女」
『ただの報告です』
そう素っ気なく言う。だいぶ辛辣な言い方なのに対し、何も思わずただ淡々と話す。
彼女はほとんどのことに無感情・無関心になっている。
いつこうなったのかはわからない。
もしかしたら生まれた時からこうだったのかもしれない。
素顔だって見せない。絶対に。
何もかもが不明なのだ。
そんな四月一日に胡蝶が珍しく突っかかってきた。
「あなた...どうしてお館様のとこに?
笑っているが、完全に怒っている。
怒るのも無理はない。
前に怪我を負った鬼殺隊の人を霊園屋敷で預かっているところ、葬儀屋の1人が暴れてさらに怪我をさせたという事件があった。
その怪我人を胡蝶が預かったのだ。
『いや...別に。あとあの事件は....』
「言い訳は結構です」
そう言い、言葉を遮られる。
彼女は黙ってしまう。
そこまで言われて悔しくないのだろうか。
そこまで言われて嫌と思わないのか。
彼女はそのまま屋敷に帰ってしまった。
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甘喰い(プロフ) - 鴉さん» 全然更新できなくてすいません!!感想ありがとうございます!!しっかり読み返して誤字など直していきます...ご指摘ありがとうございます!!助かります (2020年2月3日 18時) (レス) id: 8ab12c2783 (このIDを非表示/違反報告)
鴉(プロフ) - 更新されている分読ませていただきました。とても面白かったです。読んでいて思ったのは、結構誤字が多かったので、一度ご自身で読んで確認された方がいいかもしれません。突然このような指摘で申し訳ないですが、更新頑張ってください、応援してます。 (2020年2月2日 21時) (レス) id: f7552a9a46 (このIDを非表示/違反報告)
甘喰い(プロフ) - 涙さん» 毎度毎度ありがとうございます....申し訳ないです!引き続き宜しく御願い致します!! (2020年1月5日 9時) (レス) id: 1876c611a8 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 遊楽ではなく遊郭です (2020年1月5日 2時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
甘喰い(プロフ) - 涙さん» ほんとだ!!わざわざありがとうございます!!! (2019年11月22日 12時) (レス) id: 1876c611a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘喰い | 作成日時:2019年10月22日 20時