dream:11 ページ12
｢珍しいわね…今日はどうしたの？｣
Aに線香をあげてリビングに戻ってきた俺に、お茶を出しながら言う彼女の母親。
どうも、と小さく礼を言い俺は答えた。
｢なんとなく、あいつに会いたくなって｣
｢ふーん。……嘘でしょ｣
｢え？｣
彼女はそういたずらっぽく笑った。その笑顔は、生前のAにそっくりだ。
｢何かあったんでしょう？ 聞かせてくれない？｣
俺は一瞬躊躇ったが、彼女の笑顔に負けて答える。
｢信じがたい話なんですがね―――｣
Aが総悟の夢に出ているということを話した。
不思議な話ですよね、と。
おっと、すっかり忘れていたが…
俺がAの母とこうして話せる理由を説明していなかった。
俺とAは、マンションが同じというだけではなく、中学の同級生という共通点があった。
クラスこそ同じにはならなかったが、俺らはそれなりの交友関係を築いていた。
ご近所さんでもある為、そのご両親にもお世話になったのだ。
あいつが他界してからも、こうして度々会いに来ている。
｢なるほどねぇ。
あの子、表には出さなかったけど欲の強い子だったから…有りうるかもね｣
なんて、彼女は冗談混じりに言う。
そして時計に目をやると、
｢夕御飯、食べていく？｣
俺が返事を返す前に台所に向かっていった。
｢ちょっ…待ってください!? いいですって。もう俺帰るんで｣
｢いいじゃない。帰っても一人でしょう？ 二人で食べた方が美味しいわよ？｣
既に冷蔵庫を開け、んー、と唸っている彼女を前に断るのも億劫なので、俺は諦めて言った。
｢はぁ…手伝いますよ｣
＊
｢食べ盛りだからお肉食べなきゃね｣という百目鬼母の言葉で、メニューは豚の生姜焼きとなった。
味もとても良く、箸も進んだ。
食事中は高校の話に花を咲かせ―――といっても、俺が話す内容に彼女が興味津々で聞き入っていただけだが―――有意義な時間を過ごせた。
正直マヨネーズが欲しいところだったが、マヨが無くても普段より美味く感じたのは、やはり一人ではなく二人で食ったからなのだろうか。
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美悟(プロフ) - 勉強＆学校崩壊しろ！さん» この作品は特に儚さを意識していたのでそう言っていただけて嬉しいです。とても素敵なコメントありがとうございます。最後の言葉にお心遣いを感じ温かい気持ちになりました。頑張ります！ (2020年10月17日 2時) (
レス) id: 009face520 (このIDを非表示/違反報告)
勉強＆学校崩壊しろ！(プロフ) - とても感動しました。他の作品も読ませてもらいます。儚く、美しいお話で、涙が出てきました。これからも、頑張ってください。（色々なことを） (2020年9月16日 21時) (レス) id: 5d107772f4 (このIDを非表示/違反報告)
美悟(プロフ) - ミウラさん» 完結から6年経ちましたが、今でもこんなにあたたかいコメントをいただけて本当に嬉しいです。こういった作品は読み手がいて、読み手が何かを受け取って初めて本当の意味で完成するものだと思っています。読んでくださりありがとうございました！ (2020年7月29日 3時) (レス) id: 009face520 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 本当に大好きです。小説を書いてくださってありがとうございます。なんとも言えない素敵な、あたたかい気持ちになりました。 (2020年7月26日 12時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
美悟(プロフ) - 抹茶アイスさん» 一番ですか!?嬉しすぎます!笑 期待にお答えできるよう、他の作品も頑張ります!! (2014年4月3日 12時) (レス) id: 208c26a926 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美悟 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sadomayo/
作成日時：2013年9月29日 8時
