10*F ページ10
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健永が振りの最終確認している時間、一旦楽屋に戻され、衣装にだけ着替えて玉とゴロゴロしていた。
「ガヤー、見てこれ」
そういって玉から向けられた画面には、小さな子供が2人映っていて、
「誰の子?」
と問うと、弟の子供といった答えが帰ってきた。
「へー、もうこんな大きくなったんだ。めっちゃ可愛いじゃん」
昔から子どもは大好きだったから、玉が見せる動画にも思わず見入ってしまい、笑みがこぼれる。
「ガヤってほんとに子供好きだよね。」
「うん、だって子供ってめっちゃ可愛いじゃん。」
「でも結婚する気ないんでしょ?
ガヤの思考回路、ほんとに意味わかんないわー」
「なんでよ笑
まだ当分結婚とかいいわ、面倒くさいし
でもまぁ、将来自分の子ども欲しいとは思うし、そのうちなんだろうなー」
「何それー、じゃあ俺の事もっと大切にしてくれても良くない?いつ本命にしてくれんの?」
「本命って、お前の本命が俺じゃないだろ」
そう言って膝に頭を乗せてきた玉のおでこをチョップすると、妙に痛がるフリをしているのがなかなか面白くて、声を上げて笑った。
そもそもこんな所でするような話でもないと言ったらそれまでかもしれいないけど。
「それにこれ以上玉を大切にしろ、って何を望むのさ、
後は大好きな宮田王子に頼みなさいよ、玉森さん」
「げー、ガヤのケチ。」
「ケチで結構。早く着替えときな」
そういって無理やり玉の体を起こし、衣装の前に連れていくと渋々着替え出す姿を横目に、玉の素直さが羨ましくて、自分が酷く醜く見えた。
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作者名:mr | 作成日時:2021年5月25日 18時