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メンバーに打ち明けたのは、次の日だった。
泣かれることも、怒られることも想定済みだったけど、いざその姿を目にすると申し訳なさだけが込み上げてくる。
そんな中で、1人下を向いて俯く藤ヶ谷の姿がやけに目に付いた。
「ほんとごめん。お前らのことはずっと応援してる。
デビューした時、俺もお前らの担当になれるように頑張るわ。」
無理して笑ったその顔は、相当痛々しかったと思う。
涙を堪えるメンバーの姿を傍目に、今後の話し合いのために俺を呼びに来たマネージャーと二人席を立った。
そこからの話はトントン拍子で、何となく気まづくなったと思っていた藤ヶ谷を始めとするメンバーとの関係もあまり変わらず…というよりかはここから最年長として引っ張ってかなきゃ行けない立場の藤ヶ谷の力量が大きいと思うが、仕事とかに影響することもなく、3月末を向かえた。
「ミツ、」
最期の仕事終わり、二階堂と千賀に呼び止められ楽屋に戻ると、大切なメンバー、そして横尾さんの姿。
絶対泣かないと、辞めることを決意してからずっと心に決めていたのに、涙は簡単に零れ、止まることを知らなかった。
「っほんとに、ごめん。」
そう一言言って、蹲ってしまった俺のもとに駆け寄ってくれる6人の姿は、もう何年も経った今でも俺の心を支配して離してくれないんだ。
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作者名:mr | 作成日時:2021年5月25日 18時