はじめての旅行 1 ページ30
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「うわー、すごい部屋だね」
二人で平日に有給を合わせて取って
紫耀が連れてきてくれた温泉旅館。
『奮発して部屋付き露天風呂ついてるとこにした!』
「…………入りたい放題だ」
『Aちゃん、お風呂好きだもんね笑』
「どうしよ、早速入りたい」
いつのまにか後ろにいた紫耀が抱きしめてくる。
「びっくりしたー」
『………いっしょはいろ?』
耳元で聞こえるいつもよりハスキーな声
「え、まだ明るいし……」
『じゃ、Aちゃん入ってる間俺どうしたらいいの?
一人で待ってるとか無理だよ』
ずるい
確信犯
「………分かった」
こう言うしかない
『楽しみだな、温泉』
着ていた服を脱ごうとすると
『待ってAちゃん』
「なに?」
『髪の毛結ばせて?まだ洗わないよね?』
「うん。じゃお願いしようかな」
『ほら出来た』
アメニティーのヘアゴムで器用に結んでくれる
でもこんなのどこで覚えてきたんだろ。
ちょっともやもやしていると
『んふふ、Aちゃん今もやもやしてたでしょ?
鏡で顔みてたらすぐ分かった。
誰にも髪の毛結んだことないよ。
Aちゃんが初めて』
私の気持ちを読んでるかのような答え。
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作者名:凛 | 作成日時:2020年7月11日 23時