可憐な華の棘は痛い5(バ/レオン) ページ19
『で?実際何があったんだよ』
『何がって何が…』
『あいつの顔、殴ったのシオンだろ?』
『残念だったね、狙撃手にとって大事な手はわざわざ使わないよ。本気で回し蹴りかましただけ』
『つま先?かかと?』
『勿論かかと』
『わぉ…殴られるよりいてぇな…』
クリスたちの背中を見送ってからピアーズは不機嫌さを隠そうともしないシオンに問いかける。
返ってきた答えは若干想像以上だった。
そんなシオンに、ピアーズはさりげなく肩を回して頭を撫でてやる。
『…俺なら泣かせないぞ?浮気もしない。こう見えて一途なんだ』
『なぁにそれ。もしかして口説いてる?』
『チャンスかと思って』
『ま、一途なのは魅力的だね』
『それって脈ありだと思っても?』
『どうかな?想像にお任せするよ』
『焦らし上手だな』
そんな他愛もない会話が、心地いい。
口説いてると言いつつも一通りシオンを頭を撫でたら離される手。
『ピアーズ、手は出してないよな?』
『隊長の妹さんにそう易々と手は出せませんって』
『そうか、ならいい。…さてシオン。レオンから聞いた話、俺が話しても?』
『…聞きたくないけど、どうぞ』
『よし。闇取引の売人を追っていたそうだ。あの場所が取引場所だった。人の気配がしたから相手の方からされたらしいが、信じるか?』
『はぁ……お兄ちゃんが信じてるなら信じるよ。なんで話してくれなかったのかは話してくれる?レオン』
それを聞くとため息を吐きながらクリスが信じるなら、と聞き入れたシオン。
だが、一言欲しかった、とレオンに向き直る。
『いつものテロではなく、取引現場を抑える仕事だったからだ。シオンのことは信じてるが、どこから漏れるか分からないから黙ってた…』
『なるほどね…まぁその気持ちは職業柄僕もわかるよ。どこで誰が聞いてるか分からないもんね。で!も!女の人との仕事だって事だけは話して欲しかった』
『すまなかった…次からは話すようにする』
ホッとした雰囲気が流れたのもつかの間、レオンの携帯が鳴った。
メールには取引の売人があの取引現場で殺されていた、との内容だった。
『嘘だろ…』
『レオン?』
『…シオン、あの路地裏に死体は無かったか?こいつらだ。情報が欲しい』
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作者名:えんか | 作成日時:2019年7月2日 10時