42話 ページ10
「急ぎではありませんので、地下通路でお願いします」
Aがそう云うと、女は安心した様に頷いた。聞けば、その通路へ行く方法は地下通路へ行く方法よりも仕事量が倍に増えるらしい。それに、今は朝方なので、そのルートを通って潜入先に戻る構成員が多いそうだ。なので、混み合って使えない可能性もあったと云う。
とりあえず、正解を選んだのは間違いなさそうだった。急がば回れ、とはよく云ったものだ。
女はAについてこいと云うと、本を抱えたまま歩き出した。大量の本を持っているとは思えない程、わめきもふらずに女はどんどん進んでいく。右へ曲がり、左へ曲がり、と、何度も何度も道を曲がる。頭の中で地図を描こうにも、この書庫の全体像が掴めないので結局断念した。
Aは置いて行かれないよう、足を動かすことに専念した。
着いた先は、書庫の隅だった。隙間を空けて、壁に本棚が並んでいる。特に異変はないように感じるこの空間。けれど、ここは他と違うことを、Aは知っている。女は本を地面に置くと、一つの本棚に近づき、それをゆっくりスライドさせた。Aは手伝うと申告したが、あっけなく拒否されてしまい、見守るしかなくなった。そして完全に隣の本棚とくっついた時、巨大な機械音と共に壁の一部が窪んで、バーコードリーダーが姿を現した。
女は先程集めた本のバーコードを、一冊ずつ読み取らせて行った。この本の順序も、きちん決まっている。女は余程やり慣れているのだろう、読み取らせる動作がスムーズだった。一定のリズムで刻まれる電子音が、広い書庫に響いていく。
最後の一冊を読み取り終えた時、再び巨大な機械音がした。先程動かしていた本棚が、回転し始めた。
「こちらが許可証です。服の見える処につけてくださいね」
本棚が回転している間に、女が安全ピン付きのバッジを渡してきた。白地のバッジには、黒字で大きくMと印刷されている。これも、昔と変わっていない。この許可証を付けることで、マフィア内のどこを出歩いても「マフィアの身内である」と認識されることになるのだ。
Aは直ぐに、左胸の上にバッジを付けた。これで、マフィアの中に入っても安全だ。堂々とマフィアを歩き回ることが出来る。因みに、このMというのはポートマフィアの首領、森鷗外のMである。
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麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2021年5月22日 17時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - わー！！！！！更新されている……めちゃめちゃ嬉しい、、、、、これからも応援しています！！！ (2020年4月30日 22時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
こよひ(プロフ) - りか（かりんとう）さん» 遅くなってしまって申し訳ありません。お読みいただき本当にありがとうございます。私事なのですが、来年受験のためしばらく更新をするのは厳しいかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです。 (2020年1月21日 15時) (レス) id: 38c890fd29 (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - とても面白いです！！続きがとても楽しみです。更新まってます……！！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こよひ | 作成日時：2019年5月2日 23時
