63話 ページ31
太宰と一旦分かれて、いくらか経った後。Aは再び地下牢入口に立っていた。黒いスーツにサングラスを身に纏って。
太宰が語ったのは非常に単純な計画だった。Aがバッジを持っているならば、正面からマフィア本部に入っていないというのは誰が見ても明らか。ならば、それを利用して「手持ちがないからスーツを貸してくれ」と誰かに頼んでも何ら不自然ではない。そしてそれらを入手した後に地下牢入口に戻り、何食わぬ顔で警備にあたればいい、と。大変都合の良いことに、見張り番を押し付けてくださった心優しい構成員のおかげで、従来の見張りはおらず、代わって現在地下牢の警備はAということになっている。それに、ここならば確かに地下牢は人が寄り付かないだろうし、ここにいる理由も見張りをしていると言うことができる。太宰の見物人が来る恐れがあったが、そちらは先ほど、芥川が何人かの首を撥ねたと漏らしておいたので大丈夫だろう。更に、後ろは地下牢入口となってはいるが開放された空間となっているので逃走経路もばっちり。敦の情報のある場所も近くにあるというのだからとびきりの優良物件だ。
ここで、電子による監視は？ という疑問が当然わくのだが、そこは最初から問題がなかった。地下牢の中、および入口は監視カメラがないのだ。理由は、以前は設置していたのだが、とある組織の長を捕まえた際、その人物の異能が電子機器を経由して誰かに自身の意思を伝えられるとかいうとんでもない異能だったせいで、脱走されかけたという出来事があったからだそうだ。それ以降、監視を電子ではなく人に切り替えたのだとか。こちらをとればあちらで問題が生じ、あちらをとればこちらが上手くいかない。どこにでもある話だ。
とまれ、警備員として待機していたのだが。
ふと、太宰が最後に言い放った言葉を思い出した。妖精さんについてだ。小さくてお空を飛べる妖精さん、だが出会う際には注意点があると言う。妖精さんと会った時には、正体がバレないように注意しましょう。また、妖精さんとお話は絶対にしないこと。そして一番重要なこと、妖精さんはとても繊細な生き物ですからサイズが小さいことには驚かないようにしてあげましょう。特に、びっくりしすぎて異能をついうっかり発動させてしまうのは厳禁です？
何度かその意味を反芻した後、Aは気づいた。気づいてしまった。そして、絶望した。
来る。あの男がここにやって来る。重力使いの、彼が。
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麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2021年5月22日 17時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - わー！！！！！更新されている……めちゃめちゃ嬉しい、、、、、これからも応援しています！！！ (2020年4月30日 22時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
こよひ(プロフ) - りか（かりんとう）さん» 遅くなってしまって申し訳ありません。お読みいただき本当にありがとうございます。私事なのですが、来年受験のためしばらく更新をするのは厳しいかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです。 (2020年1月21日 15時) (レス) id: 38c890fd29 (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - とても面白いです！！続きがとても楽しみです。更新まってます……！！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こよひ | 作成日時：2019年5月2日 23時
