60話 ページ28
「それは多分、環境による電気の消失か、異能による電気の消失かの違いだと思います」
Aはそう言って、太宰から身体を起こした。もうおそらく大丈夫だ。掴んでいた右手をゆっくり離し、電気が襲ってくる感覚があるか否かを確かめる。予想した通り、いつもの自分に戻っていた。電気が通っているのは感じるけれど、電気が攻撃してくることはない。
「環境か――異能か？」太宰の目が怪しく光った。そうか、この人は知らないんだった。
「そう。簡単に言うと、原因物質に慣れるか否かってことです」
「周りから原因のものが消えるか、それとも残ってるか、ということか」
Aは首を縦に振った。電気を感じない状態になるには、電気がない環境に行くか、太宰に無効化されるかの二択。電気がない所は完全に電気がないが、異能によって感じなくさせられた場合は周囲に電気が通っている。よって、電気が通っていないところに行く場合だと電気に対しての『慣れ』は失われるが、無効化された場合は周囲にある電気に対しての『慣れ』というのは失われずに済む、というわけだ。
「珍しいね。予言が外れるなんて」
服をはたきながらAはにんまりと笑った。つい昨日、自信ありげに言っていた言葉があっさりと現状破綻したのは中々に面白い。予言は必ず当たるんじゃなかった？ と、からかってみたものの、太宰も太宰でどこ吹く風といった様で、いつもの飄々とした顔をしていた。
「残念だけど、予言はしていないから外してはいないね。何より確信できるほどの根拠を持ち合わせていなかったからね」似たようなことは一回しかなかったでしょ、と太宰は言った。
「まあ確かにそうだけど、でもそれ後付けじゃなくて？」
「じゃあ逆に聞くけど、私がいつ『予言する』なんて言った？」
お得意の口で切り返してきた。言い返す言葉が見当たらないので押し黙る。沈黙は金とはよく言ったものだ。何もAが言い返さないことを察すると、太宰はあっさり話を変えた。
「まあそれはいい。で、だ。君の先ほどの説明は分かった。でも、何故今は平気なんだい？」
「何故って……どういう？」
「君の話はこうだ――私がAに触れたあとでも、『慣れ』は失われないから君は平気でいられる。でもそれは元々君が『慣れ』を持っていた場合だ。でも今は、その電気への『慣れ』を失った状態で私が異能を使った。とすると、その今持っている『慣れ』というのはどこから来たんだい？」
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麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2021年5月22日 17時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - わー！！！！！更新されている……めちゃめちゃ嬉しい、、、、、これからも応援しています！！！ (2020年4月30日 22時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
こよひ(プロフ) - りか（かりんとう）さん» 遅くなってしまって申し訳ありません。お読みいただき本当にありがとうございます。私事なのですが、来年受験のためしばらく更新をするのは厳しいかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです。 (2020年1月21日 15時) (レス) id: 38c890fd29 (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - とても面白いです！！続きがとても楽しみです。更新まってます……！！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こよひ | 作成日時：2019年5月2日 23時
