四拾七:過去 紅イ瞳 ページ5
─主人公side─
「じゃあそろそろ帰ろうか」
「あっ!!もののけだ!!」
おにぃちゃんがわたしにそう言うと、不意に何処からか声がした。
そちらを見れば今朝の子供がわたしを指さしていた。
カッと頬に熱が集まる。
おにぃちゃんの目の前でそう言われるのがたまらなく悔しくて恥ずかしかった。
おにぃちゃんには聞かれて欲しくなかった。
「ちがうっ!!」
「なんでもののけなんかといるんだよ!!くわれるよ!!」
「そんなことっ!!!」
「皆、Aちゃんは物の怪なんかじゃない。視えてるんだから。それくらい分かるだろ?」
そうおにぃちゃんが言うと子供達はぶつぶつと何か言いながら去っていった。
「Aちゃん。帰ろうか」
「うん!!」
おにぃちゃんが違うと否定して守ってくれたことがすごく嬉しかった。
差し出された手を握って頷く。
おにぃちゃんを見上げると驚いたような怖がっているような顔をしていた。
「?どうしたの?」
「Aちゃん…目、どうしたの??」
「目?」
どうしたのというのはどういうことだろ?
別に目は痛くも痒くもない。
かといって腫れているわけでもないみたい。
ぺたぺたと目の辺りを触るけれど特に異常は感じられない。
「紅い……」
「…え?」
ぽつりと呟かれた言葉が聞こえなくておにぃちゃんを見上げた。
けれど、ぱっと手を離された。
そのまま後退り、おにぃちゃんはわたしを置いて走っていってしまった。
─
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さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 春草さんが可愛すぎて....もうやばいです。小説上手いですね! (2019年6月5日 17時) (レス) id: 92d1256844 (このIDを非表示/違反報告)
里緒(プロフ) - 春草さん!とっっても素敵でした!桔梗の花言葉のところとか...大好きです!こんなに素敵な物語、ありがとうございました!! (2015年10月1日 22時) (レス) id: b89a9213f8 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 物語がすごいおもしろいです!!読んでいたら二日ですべて読み終わりました。 (2015年8月7日 22時) (レス) id: 60fbd9e7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月陰†芽々 | 作成日時:2015年5月5日 11時