25 ページ26
『……何の、用ですか』
唇を噛み締め、自分ができる精一杯の力で彼を睨みつける。しかし神威さんは全く動じず、むしろ私をせせら笑う。
『昨日は申し訳ないことをしたと思ってね』
「謝りに来た」と言うが、そうとは思えない態度だ。彼は私の傍に座り、勝手にリンゴを食べ始める。
『……本当に謝りに来たんですか?』
『そうだよー。ごめんねー』
一言でまとめると軽い彼の謝罪に、私は息を吐く。悪いことをした自覚などない彼は、リンゴを瞬く間に平らげてしまう
『……ま、仲良くしてよ。
友達の奥さんは友達でしょ?』
『知りませんよ、そんな理論』
ふん、と彼から顔を背ければ、三味線に目が行く。立てかけられており、何処か寂しそうだった。
『……おっと大変。もう行かなきゃ』
神威さんはそう言って、窓枠に足をかける。
最後に私の方を振り返ったが、何も言わずに底から飛び降りた。
呆けていた私は、また子さんの声で我に帰る。
彼女は私に水を差し出した。
『リンゴ、食べてくれたんスね!』
食欲があって良かった、と言われ、つい美味しかったと嘘をついてしまう。
彼女はそんな嘘には気付かず、開いた窓を閉めて空調の電源を入れた。
冷たい水を欲していたにも関わらず、全く喉を通らない。縁に口をつけては、唇を濡らして離す。
周りに付いていた結露はお盆の上に垂れ、コップの底の丸い縁をなぞるように描いた。
572人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハル(プロフ) - あかあしえいたくんさん» いえいえ、遅くなんてないです! ありがとうございます!! 私=高杉があかあしさん以外にも浸透していくようにこれから頑張っていきますので、応援お願いします! リーマン沖田も高杉もサイコーですね!!( ´ ∀`) (2017年7月26日 19時) (レス) id: 15bb066393 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ミリアさん» めっちゃミリアさんのコメント色んな所で見たことがあって、自分の所には来るのか期待してたのですが、ようこそ!! アニメはあまり見ないので、Kは名前しか知りません。トリップも今の所書く予定はないです。お力になれずにすみません! コメントありがとうございます (2017年7月26日 19時) (レス) id: 15bb066393 (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - ハルさん、遅いですが第一章完結おめでとうございます!リーマン沖田も大好きですが、高杉も大好きです!何度も言いますが、私の中ではハルさん=高杉ですよ! (2017年7月26日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - すごく面白かったです。これからの作品がすごく気になります。もし他の作品を作る予定ならアニメKとコラボかトリップした銀魂の作品が読んでみたいです。Kを知らないならオススメです。説明が下手ならすみません。これからも体にきよつけて更新頑張ってくださいね。 (2017年7月23日 12時) (レス) id: e3c7f73b1f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» おはようございます! はい! 完結しました! まだまだ長いように思うのですが、意外と短いのですかね? ストーカーではなく、友達として付き纏ってくださいね笑 これからも仲良くしてください! 愛読ありがとう(´ ∀`) (2017年7月23日 11時) (レス) id: d86be63e03 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年6月30日 20時