±10cmから見る景色

side F 6 ページ13

つ、疲れた


バラエティーのレギュラーの二本撮りとは聞いていたけど、
ただ座ってればいいもんじゃねぇ


それは承知の上だけど、
北山の姿を借りて借りにもこの場に立つ以上 やるしかねぇ



「北山くんおつかれー今日このままどう？？」



北山と親交があるのだろうか

俺らより少し上の世代の芸人さんが、片手でグラスを煽る仕草をして近づいてきた



「あ…すいません、今日はちょっと」



俺にとってはハジメマシテ

そもそも北山の姿で飲みに行って、ボロが出るかもしれなくて怖い


「じゃ、またの機会にな！」



気さくな彼は、片手を上げるとそのままお先に、とスタジオを後にしていった


北山ゴメンな…

と心の中でひとりつぶやいた


正直今は、一刻も早く帰宅してベッドにダイブしたい



北山は、うまく藤ヶ谷太輔をやれてるのか？

同じように、困惑しているであろう北山の姿を想像して、俺もスタジオをあとにした

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