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side K 15 ページ25

玉が去った楽屋で一人
うなだれたまま動けずにいる俺

ふと耳をすませば、かすかにこちらに近づいてくる足音が聞こえた


たまが戻ってきたのかと思い 顔を上げると


そこに姿を見せたのは 意外な人物だった






「なかなか来ないから・・」







藤ヶ谷は 俺のほうを向くと 極まりが悪そうにつぶやいた




先程の玉とのやり取りから まだざわめいたままの心を落ち着かせるように 静かに息を吐く


「あ・・ごめん・・今行くよ・・」


なんとか言葉を絞り出して
藤ヶ谷に気づかれないように そっと目頭をぬぐった



荷物を持って立ち上がろうとすると



ふいに 藤ヶ谷と目が合う









『あのさ・・』









お互いの声が 重なる





「・・・」





「あ、あの・・乗ってかない?」







藤ヶ谷がポケットから かちゃりと車のキーを取り出した





「あ・・じゃぁお言葉に甘えて」





肝心なことは 藤ヶ谷を目にするとやっぱり言えない



言えないけど



迎えに来てくれた嬉しさと 心の奥でくすぐったい感情を抑えきれずに



少しだけ 今日は少しだけ 素直になりたいと心から思った

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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年2月19日 10時

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