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side F 1 ページ2

「その小説 そんなに難しいの?」


渉が 俺の真上からのぞき込む


「え・・?」


「さっきからこわ〜い顔してる割に、1ページも進んでないね」


「・・もともとこの顔だし」


「あ、怒った?」






渉に八つ当たりしてもしょうがないのは百も承知だけど
今の俺は冗談を笑顔で流せるほど 心中穏やかじゃない

むしろ不機嫌が 身体全体を支配しそうだ



たいして難しくもない小説越しに 二人の様子を窺うと

まだじゃれあっている姿が見えて

思わず舌打ちした



「いやなら、引き離してくれば?」


「・・何が?」


「太輔が、いちばんわかってるくせに」



渉の意地悪

そういっても 必要以上に勘ぐってこないところが さすがというべきか

たいして読み進められなかった小説にしおりを挟むと

俺は楽屋を後にした


いつもより足早に廊下を進む



夏のライブが終わって 冬にもやらせてもらえることになった

心底嬉しかったし やる気も十分



それだけじゃない

もう二度と 披露できないかもって思ってた 北山とのユニット曲

もう一度できるって決まったときは 結構嬉しかった



はずなのに・・




アイツが社交的で 誰とでも仲良くなれて 愛想がよくて

まるで俺とは正反対なのは知ってるし

そういうところも 魅力なのはわかってるけど

けど




ニカや千賀にベッタベタ触られて 楽しそうにじゃれあったり

いや、メンバーなんだから 仲良くして悪いわけじゃないことくらいわかってるんだけど

そして最近



玉との距離が やけに近い




俺だけかな?

玉が 北山を見る目は


俺と同じような色を持ってる気がするのは






どうせ鈍感なアイツのことだから そんなこと微塵も気づいていない


俺がどんだけ威嚇して アイツの周りに他のやつらを近づけまいと努力していることか





募る苛立ちを 目の前の自販機にぶつける様に

拳でボタンを押した




がこんっ・・・




手に取ったコーヒーを見つめると





「お前、ブラックなんか飲まねーじゃん」





後ろから

イライラの張本人が 顔を出した

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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年2月19日 10時

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