Last joker brand new world 中編

side Ki ページ39

『二階の・・金庫の中のアタッシュケースや・・』



俺に最後まで文句をつけていたけど、最終的に大倉はそういった

既にパチパチと煙を上げて燃え始めている階段を駆け上がる




「はぁ・・クソ、」



ところどころ、瓦礫の山になっている部分を避けて、何とか目的の部屋へとたどり着く


歪んだドアを蹴ってこじ開けると、瞬間ぶわっっと灼熱の熱風が押し寄せる




「あっ・・クッ！」



思わず、ロングコートの裾で、顔を覆う
口元を隠しながら、黒煙のひしめく部屋の中へと足を進める




「はぁ・・はぁ・・」


喉の奥が焼けるように熱い





必死に部屋の中を見渡すと、金庫のような大きいシルバーの塊



大倉に教えてもらった番号を、ダイヤルに入れる



「8,1・・0・・」



かちり、とダイヤルの開く音がして、ナカにあったシルバーのアタッシュケースをつかむ



「はぁ・・、」



出口を振り返った瞬間、ごぉっと音がして、出口をふさぐように炎が上がった


ドアが見る見るうちに炎に包まれて、あっという間に黒煙が上がる



「くそっ・・」



見上げると、天井の壁すら、ぱらぱらとはがれてきていた




「はぁ・・はぁ、」



喉の奥が焼けるように熱い

呼吸が苦しくなってきて、目の前がぼんやりとしてくる




ダメだ・・このままじゃ、

早く帰らねーと・・藤ヶ谷・・が、




先ほど、苦しそうな顔で俺を見ていた藤ヶ谷の表情を振り切って、ここへ来た

俺のわがままで、身勝手で・・



早く、帰らねーと・・



そう思った瞬間、足がもつれて、どさっと地面に倒れた



「はぁ・・」



地面についた指をぐっと握りしめた






火薬のにおいと、焦げ臭い、匂い・・




藤ヶ谷・・・






昨日、俺の上で、時折苦しそうに息を吐きながら、優しく、甘く俺を抱きしめた藤ヶ谷の表情を思い出す

藤ヶ谷に、抱いてもらって、もう何があっても、心残りはないはずだって思ってた


死ぬ前に・・藤ヶ谷に抱かれたいって思っていたから


だけど

いざとなると、昨日の優しかった時間ばかり思いだして、もう一度、アイツに触れたくなる




随分と、欲張りになってしまった




「ふじが・・や、」





うまく酸素が吸えず、そう呟いた

終わり ログインすれば
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