Last Joker brand new world 前編

side Ki ページ46

「おい！どこかいてぇのか？！」



藤ヶ谷の顔を覗き込んで声をかけるも、ぎゅっとつぶられた瞼が開くことはない
額には、うっすらと汗がにじんでいて、とにかく・・苦しそうだ




「おい、しっかりしろ！」



少し赤い顔、頬に手をやると、わずかに熱い

だけど・・こんな風に苦しむほどの高熱じゃない


なんでっ・・・




「藤ヶ谷、どうした？！」




布団を剥がして、藤ヶ谷の身体を観察すると、ぎゅっと握られた右手が、左足に当てられていた



「おい、ここ痛むのか？！」


俺が聞いても藤ヶ谷から反応はない
藤ヶ谷の手をどかして、パジャマのズボンをたくし上げた



「っ・・！？」


「はぁ・・いたっ・・・はぁ・・・」






肌を露出すると、藤ヶ谷の左太ももが、赤黒く腫れていた

まかれた包帯からは、褐色の血が染み出ている


ケガをしたのはもう、先週の話なのに・・
まだ血が止まらねぇって・・



それに、右足と比べると、ありえないほどにパンパンになって腫れあがっている

熱感があって・・明らかにおかしい



「おい、お前いつからココ、」



そこは藤ヶ谷が、あの夜撃たれてケガをしていた場所だった

俺の前では、痛がるそぶりも、歩き方も・・・



藤ヶ谷の、笑顔を思い出して胸が苦しくなる

きっと、俺のせいで無理をしていたに違いない



「とりあえず、氷持ってくるから！！」



冷凍庫から氷を取り出して、袋に詰めると、すぐ藤ヶ谷のもとへ向かう





「とりあえず、ここ冷やすから！」


「っ・・・・・」


「ふじ、がや・・？」


「っ・・」


「おい、藤ヶ谷・・？藤ヶ谷？！」





俺が太腿に氷を当ててやると、藤ヶ谷はぐったりとして、うごかない
閉ざされた瞼は、開くことはなかった

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