side F ページ38
再び軽く唇を合わせると、北山のほうからちろっと赤い舌を見せて、俺の舌先に絡めるように吸い付いてきた
すがる様に、ゆっくりと俺の首に腕を回してきた北山を宥めるようにして、そっと唇を離した
「いいから。今は・・早く体を治すことだけ考えろ・・」
「でも、」
「俺は、何処にも行かねぇよ・・な？」
俺がそう言って、北山の頭を撫でると、やっと納得したのか、おとなしく枕に頭を預けた
「っ・・はぁ、」
「タオルと・・あと、腹減ったろ。消化にいいもん作ってくるよ・・」
まだ何か言いたそうな北山の瞳に、瞼の上からそっと口づけを落として、部屋を出た
子供じみた嫉妬は醜くて、反吐が出そうだ
北山の身体に無残につけられた赤い印を見たときに、自分の中の怒りの沸点が、あっという間にはじけ飛んだ
北山に、あんな顔をさせて、あんな風に言わせてしまったのは全部
俺のせいだ・・・
ぐつぐつと沸騰する鍋の中のお湯を見つめながら、ため息を吐いた
ドロドロに溶けていきそうなほどの、この黒い醜い感情
そもそも、俺のせいだ
アイツらの前で、北山を守ると誓って、日本に5人を置いて、俺はここへ来た
守るどころか・・俺は、
慣れない手つきで、鍋の中に、具材と米を入れる
かき混ぜながら、どの程度の味付けがいいのか、迷ってしまう
きっと、渉だったら、慣れた手つきで、栄養満点のお粥を用意してくれるはずだった
玉が側にいたら・・俺よりももっと、北山の身体を早く治してやれるだろう
そもそも、宮田だったら、俺のようなヘマはせずに、あのパスコードを解除して、もっと早く北山にたどり着けたかもしれない
ニカや千賀だったら、あの男たちともっと互角に渡り合えたのかもしれない
「クソっ・・」
出てくるのは後悔ばかりで、北山は俺が守ると言ったにもかかわらず、
ここへ来てから思うのは、自分の無力さばかり
残してきたみんなの笑顔がふいに頭によぎる
俺は今までどれだけ・・アイツらに助けられて、甘えてきたのだろう
絶対に、負けないという、揺るがなかった自信
心から信じていた仲間たち
また、7人で集まろうという、道しるべ
ここへきて、打ち砕かれた希望と、手に入れたものは何一つないのに、ただ絶望だけを深く味わった
俺が・・もっと、
俺がもっとしっかりしなくちゃならねーのに・・・
未だに、自由が利かない左足の傷が、無性に痛んだ
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ピンクピーチ(プロフ) - mi-chanさん» ありがとうございます！これからも、彼には活躍を見守っていて欲しいですよね。あと、ウチの作品中でも、見守っていただく予定です（笑） (2020年7月13日 7時) (
レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - 謎の初老男性の登場見事です！絶対絶命の状況だと思ったのに…こんな風にいつまでも空から見守っていて欲しいですね！ (2020年7月13日 1時) (レス) id: 18d9607c4d (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - puuさん» 楽しみにしていただけて嬉しいです！予想を裏切ってハラハラからのスタートで二人をいきなり苦境に立たせてすみません（笑）後には、きちんとラブラブしていただくのでご安心下さい（笑） (2020年7月5日 9時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 続編更新待ってました！ありがとうございます！いきなりハラハラ展開続いてますね。まったりラブラブモードのスタートかと思ってました（笑）続き楽しみにしてます！ (2020年7月5日 8時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます！正体を明かす前から大倉くんに気づいていたとは、流石です^_^他の作品も読んでいただけているなんて、ありがたいです！！本作、これからもハラハラな展開が続きますので、お楽しみください！ (2020年7月3日 7時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピンクピーチ
| 作成日時：2020年6月26日 20時
