side Ki ページ34
「その爺さん、俺達のことを・・知ってたってことか」
「多分・・その社長って呼ばれてた奴だけはな。でも、奴がおそらくトップだ」
「っ・・・」
腑に落ちないことも多かったが、その爺さんのおかげで、俺達は何とか生き延びれたということか・・
藤ヶ谷の話を聞きながら、俺は一人静かに目を伏せた
「北山、」
藤ヶ谷が、低くそういった
「とりあえず・・今は体を休めることに専念しよう。お前、起き上がるのも辛いだろ」
「・・悪い」
藤ヶ谷は、そういうと、水を持ってくる、と言って部屋を出ていった
その後ろ姿を見つめながら、小さく息を吐く
無理しているのは、俺にだってわかった
俺の前では気丈にふるまっていても、あの歩き方・・アイツだって、相当な傷のはずなのに
なのに・・
枕に頭を預け、天井しか映らない視界をぼんやりと眺めた
手には、すこしの力も入らない
全身が、刺されたように痛む
「飲める?」
部屋へ戻った藤ヶ谷は、ペットボトルのキャップを開けると、そう聞いてきた
「ん・・」
腕を持ち上げると、再び身体に激痛が走る
なんだか、体中が針に刺されているようにびりびりと痛む
「っ・・く、わりぃ、・・」
「いいよ・・そのまま、」
藤ヶ谷はそういうと、ペットボトルに口をつけた
キレイな喉元がコクっと動き、俺の方を向く
「んっ、」
「っ・・」
ふっと、合わせられた唇
隙間から、冷たい水が少しずつ口内に流れ込む
久しぶりの水分に、身体の奥が潤っていく
それと同時に、感じた藤ヶ谷の唇の熱に、胸がキュッとなった
「っ・・はぁ、」
「もっと・・?」
「・・・欲しい、」
俺がそういうと、藤ヶ谷は再び唇を合わせてきた
久しぶりの藤ヶ谷の唇は温かくて、甘い味がする気がした
貪るように、互いの唇を堪能しつくす
安心するその香りを感じながら、静かに目を閉じた
「風呂・・入りたい」
「ダメだよ、歩けもしないのに」
身体にこびりついた、血の匂いと、汗でべたつく感触
洗い流したいと思いながらも、ぴしゃりと藤ヶ谷に言われた通り、とても風呂場まで歩ける状況じゃない
「まってて、身体、蒸しタオルで拭いてあげる」
「いや、」
「清潔にするべきでしょ」
藤ヶ谷は、そういうと部屋を出て行ってしまった
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ピンクピーチ(プロフ) - mi-chanさん» ありがとうございます!これからも、彼には活躍を見守っていて欲しいですよね。あと、ウチの作品中でも、見守っていただく予定です(笑) (2020年7月13日 7時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - 謎の初老男性の登場見事です!絶対絶命の状況だと思ったのに…こんな風にいつまでも空から見守っていて欲しいですね! (2020年7月13日 1時) (レス) id: 18d9607c4d (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - puuさん» 楽しみにしていただけて嬉しいです!予想を裏切ってハラハラからのスタートで二人をいきなり苦境に立たせてすみません(笑)後には、きちんとラブラブしていただくのでご安心下さい(笑) (2020年7月5日 9時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 続編更新待ってました!ありがとうございます!いきなりハラハラ展開続いてますね。まったりラブラブモードのスタートかと思ってました(笑)続き楽しみにしてます! (2020年7月5日 8時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます!正体を明かす前から大倉くんに気づいていたとは、流石です^_^他の作品も読んでいただけているなんて、ありがたいです!!本作、これからもハラハラな展開が続きますので、お楽しみください! (2020年7月3日 7時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年6月26日 20時