検索窓
今日:1 hit、昨日:11 hit、合計:160,305 hit

side F ページ25

今までも、任務の中で死を覚悟したことはあった
死と隣り合わせで、日々死線をくぐり抜けてきた

だけど今は、もっと状況が悪い



「っ…ぁ、」
 
体全身の血が抜けていくような感覚
北山の泣き叫ぶような声すら、遠くに聞こえる

途切れそうになる意識を、拳に爪を食い込ませるように握って、なんとか引き戻した
 

「なんや…まだ息あんのかい。まぁ…時間の問題やな」


俺の方へと銃を向けていた関西弁の男は、一旦銃を下ろすと、氷のように冷たく笑った


「藤ヶ谷っ!生きてるよな?!藤ヶ谷ぁ!!」


張り裂けるような…北山の声

なんとか、視線で北山を見上げると、関西弁の男が、ゆっくりと北山の方へと向かっていった


「は、ぁっ…きたや、ま…にげ…」


過去にも、こんな事があった

あの、北山を失うかもしれないと思った日も、そうだった
だから、北山だけでも生きてほしいと思って、強引に愛車の鍵を渡した
北山は、俺をおいて逃げてはくれなかったけれど、結局その日は、二人で生き延びることができた

だけど今は…

あの、関西弁の男の北山を見る目
単なる敵に向ける視線以上に、なにか、熱を帯びたような、特別な視線を感じる
それに、ものすごく嫌悪感を感じる

北山を、逃がすまで…俺は死ねない


俺がここで死んだら、あの男が北山に…
そう思うと、絶対に死ねないと思った



「っ…あ、っ…」


這うように、手を伸ばしてみても、ドクドクという血が溢れる感覚だけが伝う
情けねえな、北山を守るどころか心配ばかりかけて


「藤ヶ谷っ!しっかりしろ!」


拘束されたままの北山が、泣き顔をこちらに向けて、叫んでいた


「ははっ。随分と仲間思いなんやな」


関西弁の男の靴音が、北山の前で止まる

一度男は俺の方を振り返ると、
背筋が凍るような、恐ろしく冷たい笑顔を向けてきた


なにがっ…


そう思った瞬間、男が胸ポケットから取り出した小型のリモコンのようなものに触れたときだった


「っ!!」

「あぁァァァァ!!!」


突然、北山が切り裂けるように叫び、その身体がガクガクと大きく震えだした


「い、ぁっ…あぁぁぁ!!」


「きたやまっ…!お前、北山に、なに…を!」


男を睨みあげると、堪えきれないと言うように、男は口元を手で覆って笑い出した


「くっ…、あぁァァァっ!」


北山の悲鳴とビクビクと痙攣する体、そんな北山の姿に、俺の体から血の気が引いていく

side F→←side Ki



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (302 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
980人がお気に入り
設定タグ:キスマイ , 藤北 , 宮玉ニカセン   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ピンクピーチ(プロフ) - mi-chanさん» ありがとうございます!これからも、彼には活躍を見守っていて欲しいですよね。あと、ウチの作品中でも、見守っていただく予定です(笑) (2020年7月13日 7時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - 謎の初老男性の登場見事です!絶対絶命の状況だと思ったのに…こんな風にいつまでも空から見守っていて欲しいですね! (2020年7月13日 1時) (レス) id: 18d9607c4d (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - puuさん» 楽しみにしていただけて嬉しいです!予想を裏切ってハラハラからのスタートで二人をいきなり苦境に立たせてすみません(笑)後には、きちんとラブラブしていただくのでご安心下さい(笑) (2020年7月5日 9時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 続編更新待ってました!ありがとうございます!いきなりハラハラ展開続いてますね。まったりラブラブモードのスタートかと思ってました(笑)続き楽しみにしてます! (2020年7月5日 8時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます!正体を明かす前から大倉くんに気づいていたとは、流石です^_^他の作品も読んでいただけているなんて、ありがたいです!!本作、これからもハラハラな展開が続きますので、お楽しみください! (2020年7月3日 7時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年6月26日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。