side Ki ページ19
こんなキスっ…知らない
藤ヶ谷の、柔らかくて、体の芯までとろけるような甘い口づけを思い出すと、次々と涙が溢れた
情けねえな…
自分の落ち度で拘束されたくせに、
藤ヶ谷を思い出すと、生にしがみつきたくなる
こんな、得体もしれない男に、好き勝手されるかもしれない
こんな自分の醜態を
藤ヶ谷に、知られたくない…
だけど…
藤ヶ谷以外には、触れられたくない
せめてもの抵抗で、大倉という男の唇を強く噛んだ
「っ！！なにすんのや！」
「は、ぁぅっ…あ…」
苦しくて、息が上がる
男は氷のような目で俺を見下ろすと、俺の首筋に手をかけた
あぁ、殺される
直感的にそう思ったときだった
『大倉さん！！』
再び、トランシーバーが鳴った
「なんや…さっきから邪魔すんなや！」
『大倉さん、侵入者を捉えました。失礼します』
そう言って、部屋のドアがギィっと音を立てて開く
その瞬間、背筋が凍った
嘘だ…
動かない体で、懸命に顔を向けると、
「っ！」
「コイツ…うちのメインサーバーを破壊しやがったんですよ！」
大柄な黒服の男が、ドサッと床におろした細身の人物
「っ…あ、」
その、黒のタキシードは、俺がこの日のために見立てたものだった
やっぱりお前には黒が似合うな、といった俺に、見慣れてるだけだろ、と照れた横顔と少し染まった耳を思い出すが、その景色はつい先程のことで
床に打ち捨てられた藤ヶ谷の太腿からは、黒の生地にもハッキリとわかるほど、血が染みていて、床をすでに赤く汚していた
ぐったりとした顔には、生気がなく、青白い
薄く開いた唇は、呼吸をしているのかすら、わからなかった
「ふ、じがや…」
「なんや、手間かけさせやがって」
藤ヶ谷の表情からは、何も読み取れず、
ただ、左の太腿から流れ落ちる血がどんどんとシミを大きくしていく
「おいっ！！ふじがやっ！！！」
俺の、叫びだけが、乾いた部屋に響いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 980人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピンクピーチ(プロフ) - mi-chanさん» ありがとうございます！これからも、彼には活躍を見守っていて欲しいですよね。あと、ウチの作品中でも、見守っていただく予定です（笑） (2020年7月13日 7時) (
レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - 謎の初老男性の登場見事です！絶対絶命の状況だと思ったのに…こんな風にいつまでも空から見守っていて欲しいですね！ (2020年7月13日 1時) (レス) id: 18d9607c4d (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - puuさん» 楽しみにしていただけて嬉しいです！予想を裏切ってハラハラからのスタートで二人をいきなり苦境に立たせてすみません（笑）後には、きちんとラブラブしていただくのでご安心下さい（笑） (2020年7月5日 9時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 続編更新待ってました！ありがとうございます！いきなりハラハラ展開続いてますね。まったりラブラブモードのスタートかと思ってました（笑）続き楽しみにしてます！ (2020年7月5日 8時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます！正体を明かす前から大倉くんに気づいていたとは、流石です^_^他の作品も読んでいただけているなんて、ありがたいです！！本作、これからもハラハラな展開が続きますので、お楽しみください！ (2020年7月3日 7時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピンクピーチ
| 作成日時：2020年6月26日 20時
