side Ki ページ15
薄っすらと開けた瞼
薄暗い部屋の中で、大きな窓からキラキラとしたネオンが遠くに見えた
ここは、かなりの高層階なのだろうか
そんな事を痛む頭の片隅で、ぼんやりと思った
「っ…ぁ、」
辛うじて、首から上だけはなんとか動く
だけど、全くと行っていいほど手足に力は入らず、指先一本動かしただけでも、身体に痛みが走る
「お、やっとお目覚めかいな」
ゆっくりと横を向くと、遠くで先程の男が、ロックグラスを片手に不気味に笑っていた
その端正な顔に見える影に、得もいわれぬ恐怖を感じる
「な…に…しやがっ…た…」
カチャカチャと冷たい金属音が響く
拘束されているせいではないが、手足が動かない
だけど、手首から感じる冷たさが、なにか手錠のようなもので拘束されていることを物語っていた
背中の感触は柔らかく、ベッドの上に寝かされていることに気づく
「なんや、その偽物の乳ん中、けったいな、モンもってるんやなー。」
バーで見ていた男は、完全に正体を出したのか、何やら関西弁でまくしたてている
その手には、俺が忍ばせていた小型銃や、USBスティックなどがにぎられていた
「それにしても、アンタ男なんやなぁ。怪しいやつだとは思っとったけど、まさか男やとは…脱がせてみるまで気づかんかったわ」
男の言葉に、目線を下げると、赤いドレスの胸元が、裂けていた
「ま、どっちでもええんやけどな。最初に目ぇつけといて、よかったわ」
この男の役目は、はじめからホールにいる怪しい人間をあぶり出すこと
だから、見慣れない俺に声をかけてきたと言うわけか
俺の…失態だ
唇を噛みしめると、男は、ぐぐっと喉を鳴らしながら、一歩ずつこちらへ歩み寄ってくる
俺の横でピタリと動きを止めると、指すような視線で見下された
「さて。どこから始めようか」
その声色は、ゾワッとするほどに低く、動かない身体が、震えるのがわかった
「こんなもんもって、うちのセキュリティを突破したのは大したもんやけど…」
男の手が、頬に触れた
「あんまり見くびってもらっちゃ困るんや」
藤ヶ谷は、どうしているのだろうか
襟足に忍ばせたインカムは、まだ感触がある
いつのまにか、ウィッグは外されていた
この男に、気づかぬ間にボディーチェックされたときに、流石にそれは気づかれなかったのか
「っ…さ、わんな…」
「ハハッ…この状況で、随分強気やなぁ」
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ピンクピーチ(プロフ) - mi-chanさん» ありがとうございます!これからも、彼には活躍を見守っていて欲しいですよね。あと、ウチの作品中でも、見守っていただく予定です(笑) (2020年7月13日 7時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - 謎の初老男性の登場見事です!絶対絶命の状況だと思ったのに…こんな風にいつまでも空から見守っていて欲しいですね! (2020年7月13日 1時) (レス) id: 18d9607c4d (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - puuさん» 楽しみにしていただけて嬉しいです!予想を裏切ってハラハラからのスタートで二人をいきなり苦境に立たせてすみません(笑)後には、きちんとラブラブしていただくのでご安心下さい(笑) (2020年7月5日 9時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 続編更新待ってました!ありがとうございます!いきなりハラハラ展開続いてますね。まったりラブラブモードのスタートかと思ってました(笑)続き楽しみにしてます! (2020年7月5日 8時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます!正体を明かす前から大倉くんに気づいていたとは、流石です^_^他の作品も読んでいただけているなんて、ありがたいです!!本作、これからもハラハラな展開が続きますので、お楽しみください! (2020年7月3日 7時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年6月26日 20時