この強がりも全部

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「もう帰るの？」






驚いたのは俺も同じ

そんな 甘えるみたいなこと いえるわけないって思ってたのに



やっぱりまだ 熱があるのかもしれない

だってこんなこと言ったらまるで




そばにいてほしいって 言ってるみたい

藤ヶ谷といたいって 言ってるみたいで




だけど つかんだ手首をいまさら離すこともできずに

上目で藤ヶ谷の表情を伺うと







一瞬だけ




唇に熱が触れた






何が起きたのか

思考回路が整うより先に

俺の横についた藤ヶ谷の手で ソファがぎしっと音を立てて

思わず身体を離す





「・・・・ごめん」



触れた熱が 唇だと認識する

距離を取ろうとした藤ヶ谷の

握ったままだった手首を おもいきり引き寄せたのは





きっと俺が その先を期待してしまったから




「・・あのさ」


あぁ だから嫌だったんだ




「また、熱くなったみたいなんだけど」



いつだって 俺はこいつに弱い

弱くて かっこわりぃ

こんなにも好きにさせておいて 中途半端は許さねぇ






最後まで責任とってから帰れ







そういって やられっぱなしはムカつくから

少し冷え始めた藤ヶ谷の唇に、そっと唇を合わせてやった

追いかけるばかりはこりごりだ

だって俺らは 所詮


背中合わせのシンメだろ？



でも たまにはお前と向き合ってもいいかな







少し驚いたような目で俺を見ると ふっと優しく微笑んで

昔から知ってるその眼差し その腕で

ゆっくりと 俺の背中に手を回した

俺の強がりも全部 その腕で包み込むように

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