僕等の恋の行く末は

side Ki ページ49

「っ・・・！」



咄嗟のことに、頭の中が完全にフリーズした

唇に訪れた熱
柔らかな感触


予想外の展開に、思わず目を開けると、藤ヶ谷の高い鼻が見えた

くちゅっという音と共に、ざらっとした感覚

生暖かな舌先が、俺の口内をなぞった瞬間、身体にぴくっと電流が流れた



「・・じ、がや、ちょ・・まって！！！」



思わず、藤ヶ谷の身体を押しのけて、その腕から逃れていた



「あ、あの・・・俺、その・・・！！」



突然の展開に、思考回路は完全にショートして、旨く言葉が紡げない
はぁはぁ、と呼吸が上がった


目の前の藤ヶ谷を見ると、驚いたように目を丸くして俺をみて、そしてその次の瞬間、藤ヶ谷はひどく傷ついたような顔を見せた


え・・なんで・・

違う、違うって、そういうことじゃなくて！！




そう言おうとした矢先だった



「ごめんっ・・」



藤ヶ谷が、掠れた声でそう呟いた


「俺・・北山の気持ち無視して・・勝手なことしたな・・ごめんっ・・」

「ちが！！」

「ごめん・・今のは、忘れて・・」



そういった藤ヶ谷は、ひどく悲しそうな目を伏せて、俺に背を向けた


「ちがう・・から！！」


どうやって伝えればいいのかわからずに、俺はその大きな背中にぎゅっとしがみついた



「っ！」

「ちがう、藤ヶ谷・・そういうことじゃなくて・・」


ドクンドクンと、背中から藤ヶ谷の鼓動が聞こえる気がした

俺よりも、少しだけ低い体温

やっぱりいつだって藤ヶ谷はいい香りがする・・先ほどのシャンプーの香りだろうか



「俺・・藤ヶ谷と、その・・・」


藤ヶ谷の背中に回した腕に、きゅっと力をこめた




「キス・・したの、嫌とかじゃなくて・・」



あぁ、もう、なんで俺はいつも素直に伝えられないんだろうか



「ちょっと、びっくりした、だけ・・思ったより藤ヶ谷が近すぎて、ドキドキ・・しすぎて・・パニックになっただけで・・嫌じゃない・・から」

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