僕等の恋の行く末は

side F ページ48

見上げた北山の顔は、いつもよりも赤かった

大きな瞳は、うっすらと水滴が溜まったように潤んでキラキラとしていて
なのに、どこかはかなげに揺れている

具合でも悪いのかと心配すると、


『藤ヶ谷が近いから』



なんて・・そんな表情で、そんなことを言われるなんて思ても見なかった

心の奥底に、北山の言葉がキューーーっと音を立てて刺さる





なんで・・コイツはどこまでも俺の性癖をドストライクに貫くんだろう

なんで…こんなにドキドキさせるんだろう


北山の小さな顔を両手で包み込むと、もっと赤くなっていく頬

あぁ・・もう、なんでこんな風にコイツは正直なんだろう




愛おしむようにゆっくりと北山の頬を撫でると、北山がぎゅっと目をつぶった


え、え？え？？



目の前には、伏せられた目と、そこに並ぶ長くきれいな睫
少し下に目線を下げれば、ぷくっとした柔らかそうな唇が、少しだけ開いた状態で、小さく吐息を吐いた

赤い、熟れた果実のような唇は、甘そうな香りがする

え、これは・・イイって・・こと？


北山の気持ちをおしはかれずに、目を白黒させて見ても、北山は目を閉じたままだ




ここに・・自分の唇を重ねたら、どんなに柔らかいのだろうか


許されない、


そうわかっていても、目の前で、俺の手の中にいる北山が、俺のほうを向いて、目を閉じたまま動かずにいる



もう、限界だった



ゆっくり、その赤い唇に、自分のそれを合わせた




「っ・・」


柔らかな感触、温かな温度



あぁ、こんなに、ドキドキするキスは、もういつ振りだろうか・・


手の中の北山の頬を優しくなでながら、合わせた唇を軽く啄むと、ほのかに北山の香りが広がった気がした

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