僕等の恋の行く末は

side Ki ページ45

「うわっ！！！」


スパークリングワインの栓を抜いた瞬間、プッシュという音と共に、ボトルの口から勢いよく飛び出してきたピンク色の液体
言わずもがな、少しだけ甘い香りをさせているその酒が、俺の胸元にめがけて飛んできた



「やべっ・・つめてェ！」


ワインを浴びてびちゃびちゃになってしまった浴衣が肌に張り付く


「ちょっと！え？！大丈夫？！」


その光景を見た藤ヶ谷が、慌てた表情で、タオル掛けに干してあったフェイスタオル片手に駆け寄ってきてくれた



「あ・・ごめん」

「北山ボトル振っちゃった？シャンパンじゃないんだから・・」


困った表情で、少し眉を下げた藤ヶ谷が、手早く畳にこぼれた酒を拭いてくれた




「北山、着替えたほうがよくない？押し入れに予備の浴衣あったと思うよ」


「あ・・おう」


「あー！いいから！俺とってくるから、早くシャワーで洗わないと、べたべたになるよ？」




そういうと、押し入れのほうへ向かおうとした俺の動きを制して、藤ヶ谷が俺にバスタオルをよこしてきた




「イヤ・・ほんとまじでごめん・・」


「いいから」



てきぱきと行動する働き者の藤ヶ谷の背中を見つめながら、俺はため息一つと共にシャワーへ向かう

こういう時に、よく動いて気が利く藤ヶ谷は、二つ年下にもかかわらず、さすが三兄弟の長男だよな、と無駄に感心してしまう

シャワーのお湯で胸元を洗い流して、部屋に戻ると、藤ヶ谷が真新しい浴衣を差し出してきた



「予備、Ｍサイズしかなかったんだよね。どうする？フロントに頼んでＳもってきてもらう？」

「・・悪かったな、チビで」

「いや、そういうわけじゃなくて」

「別にいいよ、大は小を兼ねるっていうだろ！」



藤ヶ谷の持っていた浴衣を受け取って羽織ると、想像通り裾を引きずることになってしまった

悪かったな、めり込んでて！！

俺だってもっとタッパが欲しかったんだ！！



その様子を見た藤ヶ谷が、何やら言いたそうに俺を見て微笑んだ

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