僕等の恋の行く末は

side F ページ41

風呂から上がると、北山が俺のあげたキーホルダーを眺めていた

少しだけ口角の上がった口元

その姿が、なんだかお土産をもらって喜ぶ子供みたいに可愛くて、後ろから盗み見て、俺も少しだけ表情を緩めた

だけど、そのあと、会話の途中に急に表情を曇らせた北山が心配になった
けれど、その理由は聞けなかった

本当は聞きたい

ねぇ、何を思って、そんなに切ない顔をしているの？

俺には、そんなことを聞く権利はない

だけど…北山の暗い顔が、俺の心にも影を落とす





「ミツーガヤー！！夕食きたよー！」

「えっ」


ドアがノックされると同時に、バタバタ慌ただしくニカが入ってきた


「二人とも早く！めっちゃ旨そう！！」


無邪気にはしゃぐニカ

その様子を見ると・・千ちゃんと楽しんでいるけど、まだ成就はしていないってところなのだろうか



「あー・・じゃぁ、いこっか」


俺がそういうと、そうだな、と言って北山も立ち上がった



*



「お風呂、めちゃめちゃいいでしょー」

「あぁ、すげぇいい湯だな」


四人で、千ちゃんたちの部屋に並べられた豪華なお膳をかこんだ

山の幸も、海の幸もそろった夕食に舌鼓を打ちながら、お酒を嗜む

こんな機会もそうそうないから、俺は純粋にその光景がほほえましかった



「ねー！ここのお湯、美肌にもいいんだって！」

「へぇ、すごいね」


俺が相槌を打つ

横目でちらっと北山を窺うと、笑顔でビールを飲み干しながら、ニカ達の話を聞いていた

さっきの曇った表情が少し心配になったけど・・気のせいなのか・・大丈夫、なのかな



「ここのお風呂広いし、景色もすごいよね。千賀と一緒に入ったけど、余裕の広さだったしな！」


ニカが、愉しそうにそういった


一緒に・・入ったのか

思わず、北山のほうに視線を送ると、北山も同じように一瞬だけ俺を見た



この二人は・・つまり、そういうことになったのか？
いやでも・・こいつら普段からツアー中も一緒に風呂に入ってる仲だしな・・

第一、もし成就したなら、千ちゃんは真っ先に俺に教えてくれるはずだし・・


そんなことを考えながら、箸を進める
北山の表情から察するに、アイツも、二人がどうなったか、聞くに聞けずにいるってところなんだろうな

肝心の末っ子二人は、俺たちキモチを知る由もなく、ただただ楽しそうだった

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