僕等の恋の行く末は

side Ki ページ23

「あー！ミツ！！あーんしようとしてる！」


突如、後ろから二階堂のバカでかい声が響いた


「ホントだ！え、ミツってそういうの気が利くタイプじゃないと思ってたのに！まるで、できる彼女みたい！」


千賀がそれに乗っかってきた


「ば、バカか、お前ら！！助手席はなぁ、運転手に世話やくのが礼儀ってもんなんだよ！！」

「えーミツなんて、助手席で寝そうなタイプじゃん〜」


後ろで騒ぐ末っ子たちを振り返りながら、そう言ってやると、隣で藤ヶ谷がくくっと声を上げて笑った


「ふふっ・・北山、寝てたいんなら寝てもいいからね？」

「は？！別に俺眠くなんて、」

「ふふっ…サンキュ」



俺が否定しようとした矢先、藤ヶ谷が、俺の持っていたサンドイッチを左手でひょいっと持ち上げて、その形のいい口で一口、噛みついた


「ん・・旨い・・ありがと、千ちゃん、北山も」


もぐもぐと動く小さな頬

ちらりと、ほんの一瞬だけ俺に向けられた視線

本当に、一瞬なのに

その光景を見つめながら、自分の名前が呼ばれたことに、なぜかむず痒い感覚に襲われた


そのまま、藤ヶ谷の運転する車に揺られ、後ろで楽しそうに笑いあう末っ子二人の声をBGMにしながら、まっすぐに前を見ている藤ヶ谷のことを、何度か伺った

目が合うことはなかったけれど、なんとなく、俺の視線に気づいた藤ヶ谷が、こちらを少しだけ見た気がして、

だけど、見つめられるととっさに視線を外してしまう

なかなか交わらない視線は、いつもの俺達と同じ


氷の溶けたアイスコーヒーを一気に飲み干すと、その冷たさに思わずむせ返る

横で少しだけ藤ヶ谷が笑った気がした

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