winter color of kiss

雪が舞う夜には ページ9

藤北、二人の冬の日の思い出

あえてSideは書きません
皆様の好きな目線で読んでいただければと思います

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

『今夜は、今年一番の冷え込みとなり、関東平野部や都心でも積雪が見られる可能性があります…これをうけて、鉄道各社は…』


車のラジオから聞こえてくる、女性アナウンサーの声が静かな車内に響く

確かに、今晩は、ひどく寒い

もうすぐ春とはいえ、今日は一段と冷えるな

年度の締めくくりに向けて忙しなく行きかう人たち
これから迎えるイベントや、仕事に追われているのだろうか

彩られたショーウインドーには、キラキラと光るネオンと雪の装飾

けれども、この東京では、本物の雪が降り積もって銀世界になる景色などそう滅多に見られることはない



「雪、か…」


先程の気象ニュースを思い出しながら、雪が降り出す前にと、見慣れたマンションの地下駐車場に車を入れた

エンジンを切ってドアを開けると、思わず身震いするほどの寒さが襲う


「あぁ、寒っ…」


思わず、エレベーターへ小走りになり、はぁっと息をはけば、白い靄が空へ消えた

早く暖を取りたくて、急いでエレベータのボタンを押した

ゆっくりと動き出す、エレベータの壁にもたれる



雪が積もることはなくても、東京でも、雪を見ることは、稀にある

年に何回か、の話ではあるけれども



そう、あれは確か…

＊→←side Ki

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す