winter color of kiss

side F ページ35

数か月前、北山と、ひょんなことから一緒に行けることになった夢の国

隣に北山がいることが嬉しくて、俺のほうを見て無邪気に笑う北山が可愛くて、
そこで初めて気持ちを伝えて、キスをした


夢のような時間と、夢のようなキス


晴れて恋人同士になれたものの、
互いに仕事が多忙でろくにデートもままならない日々だったけれど、
そのままで終わりたくなくて、なんとか時間を捻出しては、北山との時間をとるようにしていた


北山と過ごすうちに、キモチはどんどん膨らんで、初めは一緒にいるうちだけで幸せだったのに、俺はどんどん欲張りになって

北山に触れたくて、仕方なかった


だから、思い切って北山の家をおとずれると、デートスポットを検索したあとがたくさん垣間見えていて
俺とデートらしいことをしたいと、北山が必死に考えてくれていたという事実を知って
その健気さに、俺の思いは溢れだした


抱きたい、とストレートに伝えると、戸惑いながらも、頷いてくれた北山が本当に愛おしくて、

俺はその日の夜に北山と初めて体を重ねた

多分…
ハジメテだらけで怖かったのはお互い様で、
こんなにも誰かを愛することに不器用になってしまうのは、きっと北山のことが好きすぎるから

だけどぎこちなくても、北山と一つになれたことで俺は喜びに溢れていた

それからも、仕事の合間を縫っては、こうして北山と逢瀬を重ねて、身体を重ねて、北山の温もりを感じていた

ありがたいことに、互いに忙しい身だから、まだ数回程度しか北山と繋がれていないけれど・・・

それでも、俺の腕の中で見せる、妖艶な表情、甘く上ずって啼く声、達する前に俺の腕をぎゅっとつかんでくる癖・・

どれを思い出しても、抱くたびにもっともっとと思ってしまうくらい・・北山が愛おしくて仕方なくて、

俺は北山にすっかり溺れている



本当はもっと一緒に居たい、もっと身体を重ねて、甘く愛をささやきたい



「藤ヶ谷・・・？」



ふと、名前を呼ばれて視線を落とすと、北山が丸い瞳をぱちくりさせてこちらを向上げていた


「大丈夫か・・？なんかぼうっとしてたけど・・お前も疲れただろ？」


不思議そうに俺を見上げる北山は、きっと俺の欲まみれの脳内など露しらず、だろう

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