side F ページ24
「っ!!」
楽屋を曲がってすぐのところにあるお手洗いのドアに手をかけた瞬間、ふわっと小さな人影が現れた
「あ、すいませ…あっ…」
「あ、藤ヶ谷か…ご、ごめん…」
ぶつかりそうになった体をかろうじて避けた瞬間、俺の方を見上げたその顔は、北山だった
「っ…きたや、」
「っ…あ、ごめん。ちょっとつまづいて…次、使うよな?ごめん…」
そう言って、俺の横をすり抜けようとする北山の目は、やはり潤んでいて顔もほんのりと赤い
足取りも、どことなくふらついている気がする
「お前…大丈夫なのかよ」
「え…?」
俺に背を向けた北山が、思わずつぶやいてしまった俺の声に立ち止まってこちらを振り返った
「北山…調子悪そうだからっ…無理してんじゃねーかと思って…」
「っ…」
「あんま、無理すんなよ…」
俺がそう言うと、北山は大きな瞳を伏せて、一瞬表情を固めたが、すぐに緩んだ目元で、フフッと笑った
「…え、なに」
「いや、ごめん…ははっ。藤ヶ谷には敵わねーな、そっか、そーいうことか。ハハッ」
「…なんだよ」
北山が、一人で納得したように笑っているのを見て、俺は思わずぶっきらぼうにそう言ってしまった
「いや、今日藤ヶ谷、めちゃめちゃトーク拾ってくれるし、ありがてぇなーとおもったら、そういう事だったんだな。サンキューな」
「っ…別に…」
そうだよ
お前が心配だった
だから、俺なりにできることがあればと思ったんだ
お前はいつも頑張りすぎるから
そう、素直に伝えればいいのに、なんで俺はいつも、大切なことほど北山に伝えられないのだろう
俺が、北山の大きな瞳を伺うと、北山はふっと表情を緩めた
「じゃ、お疲れ」
北山はそう言うと、踵を返して楽屋の方へ歩きだしてしまった
だけど、その足取りはやはりおぼつかない
「っ!待って!」
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ピンクピーチ(プロフ) - puuさん» お楽しみいただけて嬉しいです!同棲ネタ…イイデスネ(≧▽≦)どこかのお話で盛り込みたいなと思いました! (2020年3月12日 23時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 夢の国第3章ありがとうございます!ラブイチャ堪能させていただきましたvもう私の頭の中ではFさんが同棲を提案するシーンが流れております! (2020年3月12日 21時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - 北山アマージョさん» お返事遅くなってしまいすみません。夢の国シリーズ好評で嬉しいです^^押されまくりみっくん、私の好物です♪できたら続きの続きも書いてみたいなぁと。 (2020年3月5日 22時) (レス) id: ef49e46d66 (このIDを非表示/違反報告)
北山アマージョ(プロフ) - 夢の国のお話の続き読みたいと思ってました!北山さん押されまくりで可愛すぎますね!! (2020年2月23日 23時) (レス) id: 1da5eb0478 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - puuさん» puuさんありがとうございます!以前そうおっしゃっていただけて嬉しかったので、今回の短編集に組み込んでみました!続き、気にしてくださって嬉しいです^^またいづれ・・その後の二人がある、かも?! (2020年2月23日 12時) (レス) id: ef49e46d66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年2月11日 22時