それは、タカラモノ 〜第四章 最愛〜

side Ki ページ21

突然の俺の行動に藤ヶ谷の表情が変わったのがわかった


「ちょ・・きたや、ま・・！」

「ンンッ」


焦ったように、俺の肩をつかんだ藤ヶ谷を無視して、一層深く藤ヶ谷の自身を咥え込むと、舌先で敏感な部分を舐め上げた


「っ・・！」


そのまま、指と舌を使って藤ヶ谷を追い込んでいく
じゅぷっと、厭らしい音が響く


「や・・めろっ！！」



藤ヶ谷が、俺の身体を思い切り引き離した
そのまま、反動で、ベッドに倒れた


「っ・・バカっ・・・北山っ…そんな真似、すんなっ！！」


珍しく、声を上げて俺のほうを真っすぐに見下ろす藤ヶ谷が、はぁはぁと呼吸を荒くしていた



「なんで・・俺じゃ、気持ちよくなかった？」

「違うよっ！お前にそんなことさせたくない・・・」



そういった藤ヶ谷は・・なぜか

泣いていた


「なんで、お前が泣くんだよ・・・」


「いっただろ・・北山が・・・傷つくのはもう見たくないって・・」


俺を見下ろしている藤ヶ谷から溢れた涙が、ぽたっと、俺の首筋に垂れた
この涙は、キレイな色をしていた


「傷ついてなんか・・ねぇよ」

「嘘だっ！！」



ぎゅっと、俺の手を握って指を絡めると、藤ヶ谷は俺を見つめてくる
その泣き顔でさえ、コイツはキレイだった



「俺・・藤ヶ谷に必要ない・・？」

「なにいって」

「俺・・・藤ヶ谷に・・求められたくて」




そこまでいうと、なぜか勝手に涙が溢れてきた


「もう・・抱いてくれないの？あんなことあったから・・俺なんか、気持ち悪い・・？
どんなに・・藤ヶ谷に好きって言われても、不安なんだ・・一つになりたくて・・愛されてもいいんだって・・思い、たく・・て・・・」


繋がれた手をぎゅうッと、握り返す

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