それは、タカラモノ 〜第四章 最愛〜

side Ki ページ36

成田空港からいったん藤ヶ谷の家へ帰宅して二人で仕事現場へ向かうべく車へ乗り込んだ

先ほど、『マリちゃん』の話を伝えると、険しい顔をして聞いていた藤ヶ谷も、最終的には、俺の考えに同意をしてくれて、彼女に少し同情していたようだった


だからといって・・アイツらが俺達にしたことを許す事は出来ない
でも・・きっと彼女もまた、愛に囚われて、歪んでしまった、被害者のうちの一人なんだろうから





「はよー」

「おはよう」



俺を先頭に、久しぶりに藤ヶ谷を連れて、楽屋に足を踏み入れる



「がやさん！！退院おめでと！おかえり！」

「ガヤ、お疲れさん」

「太輔ー、待ってたよ」

「がやちゃーん！！」



みんなそれぞれ、藤ヶ谷の復帰を待っていてくれたようで、楽屋に入ったとたんに藤ヶ谷のことをもみくちゃにしていた

そんなみんなに、少しはにかみながらも、笑顔で答える藤ヶ谷


うん、やっぱり、お前はそうやってみんなと一緒に笑っているほうがいいよ


茶封筒で唐突に知らされて、デビューが決まったときも・・
こうやって藤ヶ谷がみんなと笑いあっている姿を見て一層嬉しかったな、なんて、ずいぶんと昔のことを思い出した



「ニカ、お前はいいの？」


俺が横目で窺うと、ニカがいきなり涙をためて衣装の並べてある部屋の隅のほうへダッシュした


「え、おい？ニカ？」



俺が慌てて追いかけようとした時だった



「「ミツーガヤー、復帰おめでとう！！」」



いきなり、部屋の中でクラッカーがなった


「おめでとー！！おかえり！！」


陰から、デカいケーキを持ったニカが、涙ぐみながら出てきた


「俺、俺ー、ミツと、ガヤのことをぉ・・！！」

「あーはいはい、ニカ、泣いちゃって」



横尾さんが、微笑みなあら代わりにケーキを受け取って、テーブルの上においてくれた



「今日からまた、無事七人でってことで！！はい、ガヤちゃん、ろうそく！」

「え、千ちゃん、ろうそくいるの！？誕生日じゃないんだよ」

「もーなんでもいいよー早く食おうぜ。宮田、切れ！」

「ちょ、玉〜！！」



弟たちが、自由にじゃれているのを見つめながら、当の藤ヶ谷は、少し照れたようにしながら、目を細めて笑っていた

ふと、その視線が合う

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