Last Joker

Ki 7 ページ7

『俺達三人に上下関係はない。ただの仲間だ。まぁ、実行部隊は俺ってだけだ・・昔助けてやった縁で、まぁ俺にとっちゃ弟みたいなもんではあるけど？別に俺がリーダーっていうつもりはねぇよ』

むかし、路地裏で絡まれていた二人を、気まぐれで助けてやった縁で、アイツらと知り合った
育ちも素行も悪い俺とは違って、玉も宮田も、どちらかといえば元は裕福な上流階級の人間だった
だから、俺とは違う、そういった一面に知恵をもらうこともある

いつの間にか、俺とつるむうちに、退屈な日常に嫌気がさしたアイツらも、こちら側の人間になってしまったけれど

ワインを飲み干して男を見た


『なぁ、お前は、なんでこんな仕事してんだよ』

『・・・』

『お前のバイクの腕前があるなら、ほかにもいろいろと活かせそうだけど？』



俺がそういうと、男は途端に黙ってしまった
伏せられた目元に並ぶ睫は、決して長くないはずなのに、美しく曲線を描いていた

オトコ相手に、これほどキレイという形容が似合う奴もそうはいまい

俺がそんなことを思っていると、
男は、一言ポツリとつぶやいた


『藤ヶ谷太輔』

『は？』

『名前・・お前、じゃない。・・アンタは？ミツって、コードネームか？』



真っすぐに俺を射た男の・・いや、藤ヶ谷の黒い瞳と視線が交わった
その瞳は、奥が見えない深い色をしていた



『俺は・・・北山宏光。ミツはあだ名みてぇなもんだ』


普段、本名を名乗ることなど、ない
しかも今日会ったばかりの他人だ

立場上、身元がバレて得なことなどない
けれどなぜか、つられるように俺もフルネームを名乗ってしまった


藤ヶ谷の雰囲気に、飲まれてしまったからだった

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