Ki 5 ページ5
『おい、玉ー！来てくれ！！』
郊外の、人気のない廃墟ビル
そこの一角の中にある、俺達のアジト
少し呼吸の乱れてきた男を担いで、階段を下りた
足首を染める赤が、一層濃くなっていっているのがわかる
『ミツー遅かったじゃん。うわ、てかなに？また女持ち帰ったの？』
『バカ、よく見ろ』
『・・あー、男・・か？』
薄暗い部屋の奥のほうから、緩めのニットセーターの裾をつかみながら、ゆっくりと顔を出した玉は、俺の肩に担がれたその男をまじまじと見て、ため息をついた
『もう、ミツ何拾ってきたの？めんどくさいのはやめてよ』
『玉、コイツ足怪我してんだ、診てやってくれよ』
『わーこれはひどいね。もう、仕方ないなぁ』
玉はしぶしぶといった顔で、俺にもたれかかってる男の前でしゃがみこんだ
それでも、真剣な眼差しになって、あっという間に男の傷口を処置し始める
褐色色の男の肌は、血の気が引いて青白く見えた
唇も小刻みに震えている
よくそんな状態でバイクを乗り回していたもんだ
『はーい、ちょっと痛いけどまず弾、抜くからねー』
『っ・・・・』
痛みを我慢するように、そのきれいな顔を歪めた男を横目で見る
額に滲む汗は激痛を物語っているのだから、思い切り叫べばいい
声を出したくないのか、唇を噛んで苦痛に耐えている
玉の処置を見ながら視線を外すと、扉の向こうから黒いフード越しに大きな瞳が見えた
特徴的な鼻がこちらを向いて大きく息を吐いた
『ねーキタミツー、俺の事おいてかないでよ』
『あぁ、わりいな』
壁にもたれかかっていた宮田が、黒いパーカーのフードを脱いで、こちらに歩み寄ってきた
『俺、バンで待ってたら、いつの間にかキタミツいないんだもん』
『仕方ねぇだろ。俺の意志とは無関係に、ソイツにバイクで連れ去られたんだよ』
俺が顎で、その男をさすと、宮田が男を見て目じりを下げた
『へぇ、玉が言ってた綺麗な子って、この子のこと？』
『残念でしたー、宮田。この子、男だってさ』
『え、そうなのー？そういえば、細身だけど、足ごつい！！』
玉が振り返っていうと、宮田は、さらけ出された男の足を見て、萌えねーわっ、と残念そうに大げさに叫んだ
その様子を見ながら、二人の間をすり抜けた
『おい玉、風呂入ってくるから、ソイツの処置終わったら、呼んで』
『ほーい』
カチャカチャと器具を扱う玉にそう言い残して、俺は部屋を後にした
背中に、男の視線を感じながら
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ピンクピーチ(プロフ) - keitaku125さん» チームワークと、藤北の甘酸っぱい恋模様と、どちらも楽しんでいただけるよう、続編も頑張りたいと思います＾＾ (2020年6月11日 17時) (
レス) id: ef49e46d66 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - まりぶさん» ありがとうございます！次のおはなしもどきどきはらはらでたのしんでいただけるように、構想熟考中です＾＾ (2020年6月11日 17時) (レス) id: ef49e46d66 (このIDを非表示/違反報告)
keitaku125(プロフ) - 続編見たいです！7人のチームワークも好きでしたが両思いなってからの藤北のコンビと信頼感が大好きでした。続編がどんな感じになるのか楽しみです！ (2020年6月10日 21時) (レス) id: 533dfc9d96 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みちゅどんさん» ストーリー柄ハラハラドキドキな展開が多いですが…次もそうなると思います(笑)続編も、楽しんでいただけるよう頑張りますね！ (2020年6月10日 19時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - nanacoさん» そう言っていただけて嬉しいです！！続編も、気に入っていただけるように頑張って執筆します^_^ (2020年6月10日 19時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピンクピーチ
| 作成日時：2019年11月14日 16時
