Ki 36 ページ36
決死の逃亡から2週間余りが過ぎた
クルーザーで、逃亡した俺達は無我夢中で海に漕ぎ出し見知らぬ海岸に漂着した
人気のないその島の一角は、ほぼ無人で、野生の植物や魚、森の湧水を頼りに数日間を生き延びた
偵察に行ってくれた横尾さんのおかげで、少し離れた崖下には集落があり、そこには食料や物資を調達する店もあり、当分俺達は追手から逃れるためにも、この海岸で潜伏することを決めた
『ただいまー』
物資調達から戻ってきた横尾さんと玉が、大きな紙袋を手に提げて戻ってきた
『包帯と、薬が手に入った。しばらくこれで持つかな』
医薬品の入った紙袋を置いた玉が、ふっと表情を緩めた
藤ヶ谷の出血はひどく、玉が銃創の処置をしてくれたおかげで、一命はとりとめたもの、
まだ痛みとの闘いで、何よりも貧血の症状が強かった
そのため、意識のある今でも、一日の大半をベッド上で過ごす日々が続いていた
『鉄分多いモノ食わせて、栄養とらせないとな』
料理上手な横尾さんが、手に入れてきた食材を見つめながら呟いた
料理のイロハを心得ていない俺たち6人の毎日の食事を、横尾さんが作ってくれているおかげで、俺達は毎日温かくてうまい飯にありつけている
『ミツは、もういいの??』
千賀が、俺の肩や腕にまかれた包帯を見て、心配そうに目を向けた
『あぁ、もう平気だよ』
本当はまだ、銃創がキリリと痛む
だけど、豊潤に物資が手に入らない状況で・・俺よりも重症の藤ヶ谷を差し置いて弱音は吐けない
『だいたいレーダーの位置はプロファイリングしたけど、海上を航海するとなるとやっぱり船は乗り変えないといけないかな。俺達が逃亡に使ったクルーザーは警察で調べがついちゃうだろうから・・早いとこここも逃げないと』
宮田が、ノートパソコン片手に、広間のほうへ顔を出した
海保が動き出した以上、悠々と船旅しているわけにもいかねぇ
『この人数で動くにも、限界があるな・・目につけばバレる可能性が高くなるよね』
二階堂の発言に、横尾さんが険しい顔をして頷いた
『あのさ・・・聞いてほしいことがある』
藤ヶ谷以外の、みんなが揃った広間で、
一人一人の顔を見て、俺は、一呼吸おいてから言葉を発した
ドクドクとなる鼓動
任務の時よりも高鳴っているかもしれない
『え・・どうした、改まって』
『あの・・俺さ』
トクトク・・・
鼓動が早くなる
『俺、Jokerを・・抜けるっ・・・』
言葉と同時に、深く、頭を下げた
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ピンクピーチ(プロフ) - keitaku125さん» チームワークと、藤北の甘酸っぱい恋模様と、どちらも楽しんでいただけるよう、続編も頑張りたいと思います^^ (2020年6月11日 17時) (レス) id: ef49e46d66 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - まりぶさん» ありがとうございます!次のおはなしもどきどきはらはらでたのしんでいただけるように、構想熟考中です^^ (2020年6月11日 17時) (レス) id: ef49e46d66 (このIDを非表示/違反報告)
keitaku125(プロフ) - 続編見たいです!7人のチームワークも好きでしたが両思いなってからの藤北のコンビと信頼感が大好きでした。続編がどんな感じになるのか楽しみです! (2020年6月10日 21時) (レス) id: 533dfc9d96 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みちゅどんさん» ストーリー柄ハラハラドキドキな展開が多いですが…次もそうなると思います(笑)続編も、楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2020年6月10日 19時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - nanacoさん» そう言っていただけて嬉しいです!!続編も、気に入っていただけるように頑張って執筆します^_^ (2020年6月10日 19時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年11月14日 16時