Last Joker

Ki 33 ページ33

オレンジのライトがチカチカと揺れているのが見えた

おそらく…アレは…



『藤ヶ谷っ！飛べよっ！俺は…絶対にお前を離さないからっ…お前に、ついてくからっ！』

迷ってる時間なんて、ない

背中から藤ヶ谷に叫ぶと、藤ヶ谷のきれいな横顔が俺を見た


『…ありがとな』


ふと、こちらをちらりと振り返った藤ヶ谷が、優しく笑った
その笑顔は、今夜の任務前に唇を重ねたときに見せた、藤ヶ谷の眼差しと同じだった

『しがみついてろっ！』

そう叫ぶと、一気に急ブレーキをかけて、藤ヶ谷が車体を一回転させた


キュキュッとタイヤの焦げる音

遠心力に負けじと、痛む腕で藤ヶ谷の体ごと支えた


そのまま、アクセルを踏み込むと、海上の橋に向かって、俺たちをのせたバイクは、スピードを上げて突っ込んだ



『っ！！！』


タイヤが、橋から海へ向けて、離れた

ぶわっ、と車体が浮く感覚

風に、煽られるコートが、ふわりと翻る


あぁそうだ…お前と出会った夜も…
こうやって空を飛んだ


そうだ…それからは
いつも、俺一人が、こうやって藤ヶ谷の手をとって、宙を舞った


だけど今は、お前がいる…
　
だから、怖くない





藤ヶ谷の香りと、低い体温を感じて、その体にしがみついた

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