Last Joker

Ki 29 ページ29

血まみれの俺たちを見ながら、不気味にニヤつく「皇帝」の、男たち
みな、揃いも揃って俺たちに銃口を向けて、好きあらば俺たちを殺そうとしてやがる


負けじと、睨みつけてみせるも、人数でも、この満身創痍の体も、どう見ても俺たちが不利だ…


でも、藤ヶ谷を…

藤ヶ谷を死なせるわけには、いかねぇ

俺が、血でベタついた手で銃を握り直したときだった



『おい、そこのチビ、気が変わった』


突然、男が俺の心臓あたりに向けていた銃を下げた

『おまえらJOKERのメンバーなら、殺すのは惜しい』


カツカツと、俺たちの方へと歩みを進めてくる
咄嗟に、俺の後ろに倒れている藤ヶ谷の盾になるように、身構えた


『生け捕りにしてやるよ』


そういった瞬間、男の拳が腹にめり込んだ

『っぐ…！』

『お前らなら、高値の懸賞金…かかってそうだもんな？』


思わず床に膝をつくと、容赦なく、拳が飛んできて、一瞬で血の味が口内に広がる


『おい、そっちの背の高いやつはもう死んでるんじゃねぇの？』

『試してみろよ？蹴っても起きないか』

『やめろっ！！藤ヶ谷にさわんなっ！』



倒れたままの藤ヶ谷に近づいた男に向けて銃を構えた瞬間、今度は頭に鈍い衝撃が走った



もう…流石に、駄目かもしれねぇ…


ポタポタと左腕を伝う血
最初に受けた右肩の傷は痛みが麻痺して、
腕の感覚が、どんどんなくなっていくのがわかる…

血の気の引いた顔で俺の後ろに横たわる、藤ヶ谷を見た

必死で男たちの拘束をといて、這うようにして後ずさりながら、荒く呼吸を繰り返している藤ヶ谷に覆いかぶさるようにして、銃を握り直す


震える腕は、正直もう…引き金を引ける力すら、ないかもしれない…

『ハハッ！無駄な抵抗か？お場際の悪いヤツだな！』


俺たちをあざ笑う男たちの声



それでもいい…

死ぬなら…

コイツと、藤ヶ谷と…一緒がいい

だけど、


『刺し違えても…逃げねぇ…』



俺より先に、藤ヶ谷は死なせねぇ

男たちを睨みつけながら、銃を持ち直して、キュッと、口角を上げたその時だった

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