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Ki 28 ページ28

皇帝の男たちの胸糞悪くなる笑い声

なんとか、なんとかここから逃げねぇと…!


『・・・たやま・・』

『っ・・!?』

思考を巡らせていた矢先、
俺の後ろで、地面に伏していたはずの藤ヶ谷が、弱くつかんだ俺の手に、固いものを握らせた


『え・・?』

『これで・・・お前だけ、行け・・』


藤ヶ谷に握られた手のひらを開くと、そこにあったのは、はじめて見る黒いカギだった



『B地点に、いつもの…停めてある・・・俺が、囮に・・な、るから・・お前だけでも…乗って・・いけ・・』


『っ・・バカ言えよっ!!』


『俺がいたら・・・足手まとい、になる・・・・お前だけでもっ』



藤ヶ谷は、震える唇でそう呟くと、俺の手をぎゅっと握った
口端から、真っ赤な血がつッと垂れて、藤ヶ谷の細い顎に伝う

胸元の染みは、広がるどころか・・藤ヶ谷のシャツ全体を赤く染めていた



『ふ・・ざけんな、』

『俺の恋人・・ちゃんと・・持って、帰って・・』



藤ヶ谷の、唇が小刻みに震えていた
その色は、真っ白で・・血が・・藤ヶ谷から流れ出た鮮血が血だまりを作っている



『嫌だ・・ふじがや・・嫌だ・・』


情けないほどに、視界が涙で歪む
泣いている場合じゃねぇのに・・


『き、たやま・・いけ、お前が・・Jokerを守らねぇと・・しっかりしやがれっ・・』


そういった藤ヶ谷は強い瞳で俺を見ると、俺の手にバイクのカギを押し付けるように握り込ませ、
藤ヶ谷を支えていた俺の手を無理やり引きはがして、俺の身体を突き放すように突き飛ばした

その反動で、足元がよろける


『いけっ・・・』

『バカ!藤ヶ谷、おいっ・・』

『・・たや、ま・・たのむっ・・』



そういうと、藤ヶ谷は、力なく笑って、ふっと目を伏せると・・

もう、一言も発しなかった


目の前の、赤く染まった藤ヶ谷を見つめる

まだ・・呼吸はある・・

生きてる・・



嫌だ・・
こんな、こんなボロボロの藤ヶ谷を、置いてなんていけねぇ

俺は…藤ヶ谷の後ろにしか、乗りたくない…



瀕死の藤ヶ谷を見ても、思い出すのは一緒に走った日々
目を細めて、暗闇の中で月夜に照らされながら、バイクの後ろに乗せた俺を振り返るようにして笑った藤ヶ谷の顔だけ




ごめん・・ごめんな・・





『そろそろ、1分だ・・死に方は決まったか?』



俺の背中で、男たちがニヤニヤと笑みを浮かべた

汗ばむ手で、銃を構えて、ゆっくりと、その男たちのほうへ、振り返った

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設定タグ:キスマイ , 藤北 , 北藤   
作品ジャンル:タレント
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ピンクピーチ(プロフ) - keitaku125さん» チームワークと、藤北の甘酸っぱい恋模様と、どちらも楽しんでいただけるよう、続編も頑張りたいと思います^^ (2020年6月11日 17時) (レス) id: ef49e46d66 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - まりぶさん» ありがとうございます!次のおはなしもどきどきはらはらでたのしんでいただけるように、構想熟考中です^^ (2020年6月11日 17時) (レス) id: ef49e46d66 (このIDを非表示/違反報告)
keitaku125(プロフ) - 続編見たいです!7人のチームワークも好きでしたが両思いなってからの藤北のコンビと信頼感が大好きでした。続編がどんな感じになるのか楽しみです! (2020年6月10日 21時) (レス) id: 533dfc9d96 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みちゅどんさん» ストーリー柄ハラハラドキドキな展開が多いですが…次もそうなると思います(笑)続編も、楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2020年6月10日 19時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - nanacoさん» そう言っていただけて嬉しいです!!続編も、気に入っていただけるように頑張って執筆します^_^ (2020年6月10日 19時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年11月14日 16時

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