Last Joker

Ki 10 ページ10

あの日藤ヶ谷と出会ってから、
俺の誘いに、最初は戸惑っていた藤ヶ谷も、最終的には首を縦に振ったのだ

それから、いくつかの仕事をこなすうちに、俺達はあっという間に、唯一無二のパートナーになった
もともと、俺と一緒に計画を立てていた玉と、ハッカーの宮田を紹介して、チームを組んだ

なかなか心を開かず、一定の距離を保っていた藤ヶ谷だったが、
ある日藤ヶ谷の親友だという、銀行マンの横尾さんを紹介された

凄腕の鍵師で、さらに銀行マンという肩書は、世の中で信用を得やすく、玉と一緒にありとあらゆる情報をもってきては、緻密な計画を立ててくれた
俺達のチームに知性という武器が加わった

彼を加えて、チームはさらに強くなった

そのあと、藤ヶ谷を慕っていた二階堂と千賀の末っ子たちを勧誘した

『こいつら、頭と口は悪いけど、腕はいいから』

『ちょっとガヤ！アホは余計だって！！』


初めて会ったとき、まだ幼さの残る二人は、俺を見て得意げに笑って見せた


『狙えない的はないよ。どんなものでも狙撃してみせる』

『俺も。爆弾処理にかけては、誰にも負けない』


藤ヶ谷の言葉通り
千賀の狙撃の腕は確かで、俺達は遠距離攻撃という選択肢を得た
二階堂の爆弾処理能力も、類を見ないほど抜群で、どんな狙いも緻密にこなす、彼らを加えて俺達に崩せない城はなくなった

二人を迎えて、俺達は最強の名をほしいままにしていた

あれから、5年
俺達７人は、巷では幻の怪盗団と謳われるまでになった

巷では、俺達のことをJokerと呼ぶらしい

それにかこつけて、いただいたお宝の現場には、痕跡として必ずトランプのジョーカーを残してくるようになった



玉と横尾さんの練った綿密な作戦通りに動き、宮田がどんなセキュリティもハッキングしてあっという間に突破
強固な建物は二階堂が爆破し、千賀の狙撃で、あらかじめ敵の数を減らす
俺がお宝を強奪した後は、藤ヶ谷があっという間に俺の身体ごと攫ってバイクで逃走する

それが、俺達のいつものやり方

一ミリも無駄はない
やるなら、華麗に、完ぺきに
それが俺たちだ

Ki 11→←Ki 9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す