side F ページ27
「あーパンツまで濡れた」
「お前のせいでな」
「藤ヶ谷が間抜けに転ぶからだろ」
「人の背中にケリ入れたのお前だろ」
二人で、海岸線で座り込みながら、ずぶ濡れのまま並んだ
「これ、乾く?」
「さぁな」
「このままかえ」
「俺の車のシート濡れんだろ!」
「藤ヶ谷のケチ」
「あぁ?!」
北山に睨みをきかせると、いまだに渇く気のない髪から、水滴が落ちた
「じゃぁ、泊る?」
「どこにだよ」
「あそことか?」
ニヤニヤしながら指を刺した北山の見るほうを見上げると、
きらびやかな街灯と、休憩3000円から、の文字
「おまえ、ざけんな」
「え、なーに考えてんの藤ヶ谷さん?」
「そんなとこいけるか!」
「照れんなって。てか場所の問題なの?」
「ちがっ・・お前、もう喋んな!」
冗談だってと、けらけら笑う北山のほうを軽く睨むと、悪戯に唇を尖らせた
ムカつく
あー、クソ、お尻がつめてェ
「・・・お前は、イけんのかよ?」
「え?」
「俺で、いいんだ?」
北山が、あまりにムカつくから、ちょっとだけ
そうちょっとだけ、
からかってやるつもりだったんだ
「ふじ・・」
こちらを向いた、その顔をぐっと引き寄せて、
その唇に、軽くキスをしてやった
「っ・・」
夕日に照らされて、重なった二つの唇と、
オレンジに染まった二つの背中が、テトラポットの上で、静かに、交わる
音もたてずに交わった唇は、海のさざなみの音の中で、静かに、互いの熱を伝えあっていた
「・・・」
「・・」
唇を離すと、まんまるな目で、俺を見つめる、俺の顔だけど・・
その表情は、あどけない北山そのものだった
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月29日 16時