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俺が、そう言うと、北山は少しだけ目を伏せて、つぶやいた
「俺は、そんなことしてもらったことねーよ」
「え、そう?」
「うち、物心ついた頃から母親と二人だったし、毎日夜遅くまで母さん働いてたから…具合悪くても、一人で薬飲んで寝てたよ」
「っ…」
なんだか、少しだけ申し訳ない気持ちになった
北山の、一人で何でもこなしてしまうところ
そのくせ、寂しがりやで、
一人で夜ご飯を食べるのが嫌で、常に誰かと予定を入れているところ
人に甘えるのが苦手で、いつも無理してしまうこいつの悪い癖…
なんだか、そのルーツを垣間見てしまった気がして、俺は腕の中の北山をぎゅーっと抱きしめて、頬を寄せた
「今日は、俺に甘えな…?」
そういって、北山の方を見ると、視線が合わさった瞬間にパッとそらされる
「お前…ガキ扱いすんなよ」
「してないって。ほら、今日は痛くなくなるまで俺が抱きしめててあげるからさ」
「抱きついているようにしか見えねぇって」
「それは北山が小さいから」
「ちびじゃねぇし!」
「とにかくー」
腕の中の北山をぎゅーっと抱きしめたままで、その頭をよしよしと撫でてやる
「今日は、このまま寝ていいよ?」
俺がそう言うと、北山は俺の顔のくせに、
「ん、さんきゅ」
と照れたように言って、何故かその表情は、照れくさそうにしてみせる、いつもの北山の笑顔そのものだった
「辛いときは、人肌恋しくなるでしょ?」
「…だな」
そういって、互いに抱きしめたまま、瞳を閉じて、毛布にくるまった
なんだか、目を閉じると、北山に抱きしめられているような気がして、
俺まで気持ちよくなっていく気がした
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月29日 16時