side F ページ22
「な、なんで入ってくんだよ!!」
「俺だって入りてぇよ。嫌なら藤ヶ谷がでろよ」
「俺、お湯にはゆっくり浸かりたいの!」
「別にいーじゃん、つめれば」
よいしょといって、俺と向かい合わせに座ってきた身体
「…」
「だから、見すぎ」
俺の体がお前のもんだって言うなら、
「じゃあ、北山の身体も、今は俺のだからなっ…!!」
ムキになって、そういうと、一瞬驚いた表情をしたそいつが、
「どうぞお好きに?」
と、挑発的な笑みを見せたから、
俺も張り合うように口角を上げてみせた
背中合わせの俺達の、今だけは少し、
特別な距離感
この、狭いバスルームでの、向かい合わせが、
少しだけ心地良い
風呂を上がると、俺が買ったプレゼントの袋とは別に、少し濡れてクシャッとした先程の店の紙袋がセンターテーブルにおいてあった
見慣れたきれいな字で、藤ヶ谷の!!って書いてあるし…
「アレ、これ…?」
あけてみると、ピンク色の可愛らしいボトルにラメが光る
顔を近づけると、甘いフルーツを思わせる、香りが漂った
「あ、それ、やるよ」
振り向くと、風呂上がりでバスタオル一枚の北山がそこに立っていた
「え…」
「なんかお前っぽいから」
そういって、タオルでガシガシと頭を拭きながら、また脱衣所のほうに戻っていった
その顔は、見えなかったけど、タオルの下で少し顔を赤らめている気がしたのは、風呂上がりだからなのか…
「…」
そんな、柄じゃないくせに
俺は、溢れる笑みを抑えながら、丁寧に巻かれたリボンを解く
より、濃くなった甘い香り…
プレゼント用にラッピングされていた、そのリボンを、もう一度丁寧に解き直して、そのボトルの上に、キレイにもう一度巻いてやった
アイツの色をした、その赤いリボンが、
少しだけ目立つように
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月29日 16時