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side T ページ43

「た、ま・・ごめん・・・」

「そんなのいいから」

嘔吐して、ふらふらになっていたミツの口元を綺麗にして、何とかベッドまで運んだ

「水、飲む・・?」

「いまは・・いらね・・ごめ・・」

苦しそうに、ぜぇぜぇ呼吸をするミツは、先ほどまでにこやかに俺の向かいに座っていた人物と同じとは到底思えないほどに
顔色が悪く、憔悴しきっていた

いつから・・こんな状態だったのだろう

ガヤの病室に顔を出すようになって、元気になったと思っていたミツは、
本当は全然そんなことなかったのかと、今更気づいて、自分のおめでたさに嫌気がさした



ミツを寝かせて、汗ばんだ額をタオルで拭った
苦しそうなミツの表情に、後悔と、ふがいなさが込み上げてくる

「っ・・・ミツ、ここケガしてる」

よく見ると、先ほど吐いたときだろうか
手の甲の擦り傷に血がにじんでいた

「ちょっとまっててね」

それっぽい、薬箱を勝手に開けて、消毒薬を取り出した
ちょんちょんとガーゼにつけて、ミツの手の甲に絆創膏をはった

「ん・・」

また、苦しそうに、肩で大きく呼吸をするミツ
つい最近までこんな状態で仕事をしていたなんて・・

ミツの歪んだ表情に、俺も苦しくなってくる



「苦しいだろうから・・ちょっと、緩めるよ」

ミツの、シャツの胸元のボタンを緩めて、
苦しそうにしている身体を解放してやろうと、ジーンズのベルトのバックルを緩めてやった

その時だった



「っ!?」

「え、」

「あ、ぁあ、や・・やめろっ!!!」


ミツが、急に眼を見開いた


「あ、ごめっ・・」

「いや・・だ・・あ、あ・・あぁ・・」

「え、ミツ?!ミツ?!!」



さっきまで苦しそうだったミツが、一層呼吸を荒げて、ベッドから逃げるように起き上がる


「待って、ミツ!危ないって!!」

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ピンクピーチ(プロフ) - あこさま!いつも温かいメッセージありがとうございます!励みにさせてもらってます!!もう少しで幸せな二人編に突入するので、もう少し頑張ります^_^ (2019年11月15日 15時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - こんにちは!更新されるたびに泣きながら読んでます。みんなの心の傷が癒えてふたりがしあわせな時間を早く過ごせることを願ってます。ピンクピーチさまもしんどい部分の更新大変だと思いますががんばってください!応援しております^^! (2019年11月15日 14時) (レス) id: c75777a11f (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みってぃーさん» はじめまして^_^日課にしていただけて大変光栄です!そして、温かいお言葉!こちらこそ泣きながら読ませていただきます!!これからも、更新励みますので、良ければ読んでやってください★ (2019年11月11日 18時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
みってぃー(プロフ) - いつも更新ありがとうございます!毎日更新されているか確認するのが日課になってます。そして、更新された話をここ最近泣きながら読んでいます。作者様の作品はどれも心に刺さるものばかりで尊敬しています。大変だと思いますが更新頑張ってくださいね。 (2019年11月11日 17時) (レス) id: 4e432f1ab1 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - キスマイさん» ご愛読ありがとうございます!これからは、藤北以外のメンバーの心情も複雑に絡みながら展開していきます…また楽しんでいただけたら、嬉しいです^_^ (2019年10月27日 10時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月23日 15時

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