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「ニカ!まって!!まってって!!」
ずんずん進む俺のあとを、千賀が息を切らしてついてくる
俺はそれに気づきながらも、無言で乗り込んだタクシーを降りて、目的の場所へ向かった
「ニカ!!どこいく・・」
千賀の声を振り切って、俺は一目散に階段を駆け上がった
エレベータを待つより、そのほうが早いと思ったから
似つかわしくないこの場所で、小走りに急ぐ俺達を人々が怪訝そうに見る
だけど、今はその視線すら、どうでもよかった
「ね、ニカ・・!!!」
千賀が、俺の腕をつかんで、俺に引きずられるようにして、一緒の目的のその場所へ滑り込んだ
ガラっと、大きく音をたてて、開いた扉
白いその部屋にいる人は、俺達がよく知る人
「・・・あれ」
静かに、そういって俺たちのほうを向いたその人は、手元にあった小説をふとおいて、俺のほうを真っすぐに見た
「どうしたの・・こんな時間に」
「・・・」
何も言わず、その小さな顔を見つめて、一歩ずつ近づいた
「・・ニカ?」
「・・・や・・」
「おい、どうした・・」
その身体には、まだ点滴が刺さっていて、肩から胸にかけては何重にも包帯がまかれている
わかっている、いくら、一般病棟へ移っても、まだ、重症なんだって
その彼に、すがるなんて、俺達は、
なんて無力なんだろう
「な・・どうし・・」
その細い手に、崩れるように、しがみついた
「助けてよ・・」
「どう・・した?ニカ・・」
「助けて・・ガヤ・・」
「・・・え」
「ミツを、ミツを助けて・・・」
「っ・・・」
「ミツが、壊れたままなんだ・・お願いだ、よ・・」
お願い、ミツを助けて
ミツのことだけ、置いていかないで
ねぇ、ガヤ、ミツを本当の意味で助けてあげられるのは、
やっぱり、ガヤしかいないんだよ
「ニカ・・?」
「お願いだよ・・」
ぽたぽたと落ちる涙が、ガヤの包帯を濡らした
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ピンクピーチ(プロフ) - あこさま!いつも温かいメッセージありがとうございます!励みにさせてもらってます!!もう少しで幸せな二人編に突入するので、もう少し頑張ります^_^ (2019年11月15日 15時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - こんにちは!更新されるたびに泣きながら読んでます。みんなの心の傷が癒えてふたりがしあわせな時間を早く過ごせることを願ってます。ピンクピーチさまもしんどい部分の更新大変だと思いますががんばってください!応援しております^^! (2019年11月15日 14時) (レス) id: c75777a11f (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みってぃーさん» はじめまして^_^日課にしていただけて大変光栄です!そして、温かいお言葉!こちらこそ泣きながら読ませていただきます!!これからも、更新励みますので、良ければ読んでやってください★ (2019年11月11日 18時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
みってぃー(プロフ) - いつも更新ありがとうございます!毎日更新されているか確認するのが日課になってます。そして、更新された話をここ最近泣きながら読んでいます。作者様の作品はどれも心に刺さるものばかりで尊敬しています。大変だと思いますが更新頑張ってくださいね。 (2019年11月11日 17時) (レス) id: 4e432f1ab1 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - キスマイさん» ご愛読ありがとうございます!これからは、藤北以外のメンバーの心情も複雑に絡みながら展開していきます…また楽しんでいただけたら、嬉しいです^_^ (2019年10月27日 10時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月23日 15時